「草ヒロ物語2」を知らない人はコチラへ。
見習い 「そろそろ梅林が近づいてきましたね~。」
博士 「そうじゃな。」
助手 「建物もさっきより少なくなってきて、レストランやカーディーラーが増えてきましたね。」
見習い 「えぇ。郊外の道って感じですよね~。」
博士 「うむ。チラホラ梅林や果樹園も見えてきておるな。何だか・・・ワクワクするのぅ~。」
見習い 「・・・あ、分かります!その気持ち・・・!なんか山梨や長野に草ヒロ探索に行った時とか、高速道路を降りて果樹園地帯が見えてくると、今日はどんな草ヒロと出会えるんだろうな~って、無性にワクワクしてきますよね~。」
博士 「おぉ、そうじゃ!まさにそんな気持ちじゃな。・・・草ヒロがあると分かっとったらワクワクは得られんが、全く未探索のフロンティアなら一体どんな草ヒロが存在しとるのかっちゅうドキドキが最大級じゃよ。・・・ま、ワシの場合はドキドキというより動悸じゃろうが・・・。」
見習い 「・・・。」
助手 「・・・。」
博士 「なんじゃなんじゃ?オヌシら急に黙りおって。・・・ワシ、なんか・・・悪いことでも言うたかの?」
助手 「あの~!・・・博士の場合は、シャレにならないんですから気を付けて下さいね、全く・・・。」
見習い 「タダでさえつまらないダジャレだというのに、シャレにならない洒落なんか言われても笑えませんよ~。」
博士 「・・・うぬぬ。オヌシら、好き放題言いよって・・・!ダジャレはのう、“おやじギャグ”と称されるように、オヤジの華であり、オヤジの数少ない楽しみなのじゃ。それに、リスキーなネタを使うのもオヤジの嗜みなのじゃよ。じゃからそんな風に・・・」
見習い 「あ~ウルサイウルサイ。こんなオジサンほっといて、草ヒロを探した方が良いですよね~、先輩?」
助手 「うん。だって僕たち、草ヒロ研究所の所員だしね。ダジャレ研究所の人間じゃないし、ダジャレ博士はほっといて草ヒロを探そう。」
見習い 「ですね!」
博士 「・・・何がダジャレ博士じゃ!?ワシが話している最中に話し始めよって・・・!じゃからそんな風に・・・」
助手 「あ、草田くん!草ヒロが一瞬見えたよ!止まって!」
見習い 「了解です!」
博士 「・・・。」
助手 「行こうか!」
見習い 「ハイ!」
パタン!
博士 「・・・。・・・おい、オヌシら!ちょっと待つのじゃ!」
No.011
ダイハツ ハイゼットバン
1990~94年式
用途:物置 場所:カーディーラー
博士メモ:カーディーラーの物置としてクルマが使われることなんてあるんじゃのう。草ヒロ学的に結構希少な分類の事例じゃ。車種は平凡でも、こういう個体は草ヒロ好きとしては楽しめるぞ!
見習い 「なんだ~・・・660のハイゼットかぁ。全然古くないじゃないすか~。」
助手 「そだね~。でも・・・」
博士 「何を言う!」
見習い 「うわっ!博士いきなりなんですk」
博士 「いくら古くなくとも、ちゃんと物置利用されとる草ヒロじゃぞ!・・・草ヒロ研究所の所員である以上は、こういうのもシッカリ記録すべきじゃろう!」
見習い 「は、はぁ・・・。」(何言ってんだこの人・・・。)
博士 「・・・まあ、物足りぬというオヌシの気持ちも分からんでもないが。」
見習い 「でしょ、博士?さっさと次行きましょうよ!次!」
助手 「草田くん、ちょっとここは博士の話を聞いた方が・・・。」
見習い 「えっ・・・?」
博士 「・・・分からんでもない。分からんでもないが・・・草滅会の活動が激化して、どんどん世の中の草ヒロが淘汰されていった時に初めて、こういう古くなくともそこに草ヒロが“居る”ということだけでもかなり有難い事だったと気付くんじゃ。」
見習い 「た、確かにそうですね・・・。」
博士 「そうなってからは遅いのじゃ。じゃから、こういう個体でも少しずつ記録していくのが、ワシらにできる最大限の努力じゃろ?」
見習い 「・・・。」
博士 「今それをやらずして何をするのじゃ!?」
見習い 「・・・言われてみれば・・・そうですね、博士・・・!今度からは、気を付けようと思います・・・。」
博士 「ただ、ワシも昔はオヌシとおんなし気持ちじゃったし、あまり偉そうには言えんがの。さっきも言うたように、どんどん草ヒロが撤去されてってから、このことに気付いても遅いのじゃ。」
見習い 「なるほど・・・。」
助手 「僕も博士の助手になってから初めて気付いたんだよ。その時も僕のこの話をしてくれて・・・。」
見習い 「そうだったんですか~。」
博士 「うぅ、ワシも・・・できれば十数年前に気付きたかったのう・・・。」
見習い 「まあでも、これはダイハツのディーラーにひっそり置いてあるので、さすがの草滅会も撤去は出来ませんよね!」
博士 「いや、それは分からんぞ~。」
助手 「確かにディーラーに置いてあるから草滅会が手出しできないように見えるけど、ここの従業員の人がやっぱりいらないと判断したらそれまでなんだよなぁ。」
博士 「うむ。オヌシの言う通り。必ずしも草ヒロをなくすのは草滅会だけに限らんのじゃ。オーナー自身が自主的に処分するという可能性もあるんじゃぞ。」
見習い 「そうなんですか~。好きで置いているからそれは無いと思っていたんですけどねぇ。」
博士 「草ヒロを置いておくのは、別にクルマが好きとか草ヒロが好きとかいう理由なんて全く無い場合もあるにはあるじゃろう。その場合、ただ物置として便利だから置いてあるというだけじゃろう。」
助手 「草ヒロ好きとしてはちょっと寂しいですよね・・・。」
つづく
「この物語、そして物語に登場する団体・登場人物は、ワシも含めてフィクションじゃ。実在するものとは一切関係ないからの。」
「博士。この個体、草ヒロ学的に希少な分類って仰ってましたけど、どういう分類になるんですか?」
「・・・。・・・オヌシ、草ヒロ研究所に入所して一体何年になるんじゃ?草ヒロ学の教科書や辞典なんて研究所にいっぱいあるんじゃし、それをちゃんと読んでいれば分かることじゃろう。」
「いや~、最近ネットばかりであんまり読んでませんし、ちょっとド忘れしちゃって・・・。」
「全くしょうがない奴じゃのう。ちゃんと復習しておくんじゃぞ。」
「はい・・・!すみません・・・。」
「これはな、【日本車域 大発界 八十年代門 商用車綱 軽自動車亜綱 箱型目 放置科 物置属 駐車場種 カーディーラー亜種】 じゃ。」
「・・・。・・・お、おぉ。さすがですね博士。・・・僕には、何を言っているかサッパリ・・・。」
「バカモン!見習いならともかく、オヌシはワシの助手じゃろうが!一目見てパッと分類出来なくとも、聞いてイメージできるくらいにはなっとれ!」
「は、はぁ・・・そうですね。確かに勉強不足でした・・・。覚えられるよう、頑張ります・・・!」
「うむ。」