日産 キャラバンコーチ
ハイルーフ GL・L(KD-KRE24)
1995~99年式
島根県にて 2013年8月3日撮影
長きに亘った当シリーズの最後のクルマは…これです。
前回の旧車がキャンターであることを考えると、最後のクルマがE24キャラバンというのは、いかにも拍子抜けしてしまうかも知れませんが、僕がこのクルマを最後に選んだのは、キャラバンとはいっても少し珍しく、また思い出があるからなのです。
このキャラバン、見ての通り普通の商用車のキャラバンではなく、乗用のキャラバンコーチ。しかもタクシーです。更に、"駅ゝタクシー"というちょっと古風な名前が付いているようです。このタクシーが少し珍しいのはベース車が若干古いとかそういうのもあるにはありますが、それだけではありません。このタクシーは、この年のこの時期だけに特別に運行されたタクシーなのです…!
鉄道をよく利用する人や詳しい人なら聞いたことがあるでしょう、振替輸送という言葉を。このタクシーは振替輸送と実質似たようなものでして、代行輸送のタクシーです。両者の違いは、その運輸期間。
振替輸送は、人身事故や台風などで鉄道が数十分から数時間といった短期的な運転見合わせを行ったときに、お客様が目的地へたどり着けるよう、別ルートの路線を最短距離と同額の運賃で行けるように便宜を図ることです。
代行輸送というのは、台風や地震などによって生じた土砂崩れや線路の崩壊などで、鉄道が数日から数か月、或いは数年間という長期的に運行できないことが予想される場合に、鉄道会社が用意した専用のタクシーやバスを運行不可能な区間の分だけ利用できるように便宜を図ることを言います。
つまり、運転見合わせの期間が短ければ振替輸送、長ければ代行輸送という風に考えていただいても構いません。
このタクシーは、5年前の夏に中国地方を襲った台風で土砂崩れが発生し、鉄道が長期間運行できなくなってしまったため、代行輸送を行っておりました。僕たちの旅行計画では、ちょうどその路線に乗ることになっていたので、旅行直前になって運行休止になってしまったこともあり、今更変更することはできず、代行輸送はなかなか乗れるものではないということで、乗ることにしたというわけです。
で、この路線、鉄研部員全員が乗車したわけではなく、僕と友達一人と先輩一人の三人だけで乗りました。…というのも、うちの鉄研では旅行中の"別行動が"中学生は1回、高校生は2回(しかも外泊可)まで認められており、本隊が行かないけれども自分は乗りたい路線や行きたい場所があるときに使うシステムです。それで僕たちはある路線に乗ろうということになり、先輩と共に別行動しているというわけでした。
ちなみに、福山自動車時計博物館は解散後なので、別行動には入りません。
この別行動というシステム、結構ありがたいもので、普段は行くことはない九州やら東北やら行けるという滅多とないチャンスである鉄研旅行で、地方の自動車博物館に行かない手はない!…ということで、この次の年の九州旅行でも、さらに次の年の東北旅行でも自動車博物館に訪れました。その時のシリーズは、のちのお楽しみということで…。
このタクシーの思い出は、本隊から離れて別行動したときに三人だけで乗ったという特別感からも来ているのですが、やはり車種が車種だけに思い出に残っているのが大きいでしょうね。こんな古いクルマにのるというのは初めてで、しかもタクシーですから、E24キャラバンがタクシーだと知ったときは、内心ガッツポーズを決めておりました笑
そういうわけで、とってもワクワクしながら乗ったタクシーですが、旅の疲れ(この日は旅行二日目か三日目で、しかも朝4時に起きて始発に乗ったのです)からか…小気味よいエンジンノイズとフワフワな揺れを感じている内に、ついウトウトしてしまって…気が付けば終点:川本に到着していましたとさ。
先輩にも、「お前グッスリ寝ててガッツリ俺に寄りかかってきてたぞ笑」的なことを言われました笑
そんなオチが付いたのも、またある意味よき思い出なのです。