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草ヒロ“撤去”物語3(5)

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『草ヒロ“撤去”物語』について知りたい人はコチラ

『草ヒロ“撤去”物語3』の登場人物について知りたい人はコチラ

 

 

前回のおはなし

 

山中 「いや~、親切な若者のおかげで助かりましたね~水篶さん!」

秘書 「ええ。仰る通りでございます。運転している感触からしても、とくに足回りも破壊されてはいないでしょうし、安心しました。」

上田 「良かったですね!水篶さん!」

秘書 「ディーラーに持っていかない事にはまだ安心はできませんが…。それに、ボスがこのことを知ったらきっとお叱りを受けることでしょう。」

山中 「まあ、それは仕方のないことですよ!動物をよけたということはドラレコにも映っているんですし、それを知ったらボスもお許しくださりますよ!」

秘書 「…そうだとよいのですが…。」

 

上田 ボソッ「はーぁ…さっきのカップル、すごい羨ましかったなァ~。」

山中 「リンゴ、お前まだ彼氏できたことなかったんだっけか。」

上田 「えっ!?…あ、はい…。」(聞こえてたのか…)

山中 「お前さん普通に彼氏できそうな見た目してると思うんだけどなぁ。」

上田 「…うぅ…この世に生を授けてもう20年だってのに…。あんな田舎の農家に生まれたのが運のツキだったんです…。草滅会では出会いも一切ないし…」

山中 「はぁ…なんかすまねぇな…。」

秘書 「…こんな私で、申し訳ございません。」

上田 「いえいえ!山中さんも水篶さんも気にせずに!そういうつもりじゃないんです…!それに、草滅会に忠誠を誓ったのは間違いありませんから!…ただ…。」

山中 「ただ…?」

上田 「ちょっとあの二人を見て…青春の甘酸っぱい思い出が甦ってきたんですよ…。」

秘書 「…と、いいますと?」

上田 「あたしの中学時代の初恋ですよ!…結局願いは叶わなかったけれど…。」

山中 「おっ、いわゆる“恋バナ”ってやつか~!なんだか面白そうじゃん!?…ま、まあ…話したくなかったら無理に話さなくてもいいんだけどな!」

上田 「話すのは別にいいんです…。…でも、今はお仕事中ですし、そういうおちゃらけた話をしている場合ではないですよね。草ヒロを見逃してしまうかも知れませんから。」

山中 「…さすがリンゴだ!草ヒロ撤去人の鑑だねぇ!」

秘書 「素晴らしい心がけでございますよ、上田様。」

上田 「…でも、モヤモヤしてるんでこれだけは言っておきます!…あのレイレイとかいうカワイイ子…あたしの初恋の後輩に似ていたんです…。それを思い出しちゃって…。」

秘書 「まあ…」

山中 「アラアラ…。…でも、彼には恋人がいたしなァ。」(…ってかリンゴって、年下好きだったのか…?俺はてっきり水篶さんみてぇな年上がいいのかと…)

上田 「そうなんですよ~!恋人がいるのが残念です~…っても、こんな大学生のオバチャンが高1のオトコノコに手を出すなんてよくないから、結局恋人がいようがいまいが、関係ないんですけどね!」

山中 「んーまあ、今のご時世ねぇ…色々あるもんなぁ…。……ムム。なんか…なにも役に立つアドバイスできなくてすまんな。」

秘書 「……。」

上田 「いいんですよ…。それが言えただけでも、まだスッキリしましたから…。……心也くんに凄く似てたなぁ…

山中  「…ん?」

秘書 「その方が、上田様の初恋の方、ですか…。」

上田 「ハッ…!え??…そ、そうです……。。。…あーッ!!草ヒロだーーッ!」

山中 「うおぉっ!?マジか!」

秘書 「停車しましょう…!」キンッ!

山中 「リンゴ、どこだどこだ?どこにあったんだ…!?」

上田 「…アレレェ~?…あー、すみませ~ん。どうやら、何かと見間違えちゃったみたいですゥ~」(このままだと、ちょっと色々話しそうになっちゃうから…すみませんお二人とも!草ヒロを見つけたなんてのは真っ赤なウソです!話を逸らさせていただきました!)

山中 「あー、あるあるだわー。俺も錆びた小屋を草ヒロと見間違えたことあるもん。」

秘書 「あとはコンテナ等も誤認対象として挙げられますね。」

山中 「そうですそうです!…だからリンゴ、気にすんなって…!少しでも草ヒロの気配があれば、たとえ間違いであろうが言ってくれりゃいいんだよ!」

上田 「ありがとうございます、山中さん…!」

秘書 「おやおや上田様…。どうやら、見間違いでもなさそうですよ?」

上田 「へえぇっ!?」

秘書 「あちらの斜面をご覧くださいな。」

上田 「えぇーっと…とっ……あーっ!?草ヒロだ~!」

山中 「おぉーっ!?…ア、マジだわwwww……な!リンゴ!やっぱり見間違いでもなかったんだ!見間違いだったのは気のせいだったんだよな!これもたまにあるわ~。」

上田 「あはは…あたし疲れてたのかなぁ~。」(イヤハヤ…まさか本当に草ヒロがあるなんて…。まあ、おかげで二人に迷惑を掛けなかったし、結果オーライってやつね…!)

 

 

 

 

No.024
スズキ キャリイ
ジャマレベル:★☆☆☆☆(私有地の奥地にあり、なおかつ果樹園も広いですね。)
景観悪レベル:★★☆☆☆(草ヒロの状態は汚らしいですが、広い道路からは見上げないと見つけることができない位置にあるので、そこまで景観を悪くさせているとは言えないでしょう。)
貴重レベル:★★★☆☆(ジウジアーロキャリイのトラックは、支部からの撤去報告は多め。バンであれば★4つはつくでしょう。)
総合評価:それぞれの撤去レベルはあまり高くないとはいえ、見つかってしまった草ヒロはもう…我々の手からは逃れることができません。この町を綺麗にするためにも、犠牲になってもらう必要があるでしょう。

 

山中 「ほう、あれはキャリイだな。」

上田 「へぇーっ、山中さん、分かるんですね!もしかして、さっき見つけた顔面が崩壊したキャリイって、あれですか?」

山中 「どーだろうな~、たしかにキャビンの形は似ているが、どうもよくわからん。鑑定はボスにお任せしよう!」

上田 「そうですね!」

山中 「あのキャリイ、ジウジアーロっていう有名なデザイナーがデザインしたんだが、あまりにデザインを追求しすぎるあまり、その代償としてバンの形状が、ひでぇことになったんだ。リヤゲートの傾斜がきつくて、とても商用車とは思えないデザインだったんだぜ。」

上田 「そうなんですか~。」

山中 「そのせいでバンが全然売れなくて、結構なレア車になっているという話だぜ!」

秘書 「トラックの方はどうだったのですか?」

山中 「それがですね。トラックは普通の形状なので、トラックは普通に売れたそうですよ。各支部から送られてくる撤去報告書、発見報告書にも、ジウジアーロキャリイのトラックであれば、名前がたまに載っていますから。」

秘書 「そういえばそうでしたね。」

上田 「まあ、珍しかろうとなかろうと、あたしたちは撤去するんですけどね~。」

山中 「そうだなリンゴ!珍しい方が草ヒロ好きが悔しがるリアクションがネットで見れて面白れぇんだが、俺たちは世のため人のために草ヒロを撤去しているのだ!だから、どんな草ヒロでも撤去だ撤去!」

上田 「おーっ!」

秘書 「データベース登録、完了いたしました。あとは写真を撮影するだけですね。」

山中・上田 「ありがとうございます、水篶さん!」

山中 「しかし、果樹園のど真ん中にあって撮影しにくそうですねぇ。」

秘書 「ええ。これは、望遠で狙うしかなさそうです。」

山中 「そうですね。周囲には住宅街もありますし、下手に入って通報されでもしたら面倒ですからね。」

上田 「撤去するその日までは、事を荒立てずに、静かに行動するってわけですもんね!」

山中 「そういうことだな!」

 

つづく
 
…その後、この草ヒロは撤去されてしまったそうな。
 
撤去された後の風景をご紹介するお馴染みのコーナー:“その後の様子”は、準備中でございます。
もう少しお待ちくださいね。
 
 
「この物語、そしてこの物語に登場する団体・人物は全てフィクションだ。実在するものとは一切関係無いことを覚えておいてくれ。でもな、草ヒロが撤去されたというのはノンフィクションだ…!」
「画面の前の諸君!今回も残念ながら“その後の様子”はお見せできないんだが、『草ヒロ“撤去”物語3』(1)の“その後の様子”の写真はアップロードできたぞ!」

「我々草滅会の輝かしき草ヒロ撤去活動の成果を、とくとご覧あれ…!」

「ご覧あれ!…しかしボス…。早いとこ、『3』のそれ以外の回の“撤去の様子”もアップロードしたいところですねぇ。」

「そうだな。こんな状況では、全国の我々のフアンの方々が落胆してしまうからな。それに、“あのお方”にも面目が立たぬ。」
「ところで“あのお方”…果たしていつお見えになられるのでしょうねぇ。俺、もう十数年と草滅会で活動していますけど、未だに御姿を見たことがありませんよ。」

「それは知らんな。“あのお方”はもう第一線を退いたのだ…。傷ついた私の心を癒してくれた私の恩人だから、できればいつまでもお元気でいてくださりたいところなのだが…。今は基本的に自宅で安静しつつ、草滅会の活動状況を把握しておられている。」

「“あのお方”が本気を出して草ヒロを捜索した時は、それはもう凄まじかったそうですね。」

「うむ。“あのお方”は草ヒロを憎悪されるあまり、草ヒロに対してはかなり敏感になっておられる。それ故、草ヒロの気配が百発百中で分かる上に、何キロ先の草ヒロの気配まで察知できたそうだ。『草ヒロ見聞』『超感覚草ヒロサーチライト』…と会員から呼ばれていた二つの秘技を駆使してな。…それはお前さんも知っているだろう。」

「もちろんですとも!その“技”を発動している所、俺も一度でいいから見たかったです。」

「全盛期は、一日にして百台以上の草ヒロを撤去へと導いたというのだから、もはや神のような存在だ。」

「“あのお方”が再び第一線にお戻りいただければ、草研なんて目じゃねぇのになァ…。」


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