『草ヒロ“撤去”物語』について知りたい人はコチラ
『草ヒロ“撤去”物語4』の登場人物について知りたい人はコチラ
―マリたちが出発してから1時間が経過し、ついに午前10時をまわったので、ボスたちはおもむろに探索を開始した…―
説明マン
「突然だが、説明しよう!…『草ヒロ“撤去”物語4(1)』『草ヒロ物語4(2)』を読む限りでは、この時点でマリたち新入りチームが発見した草ヒロは、ジムニーとハイゼットだけということになるが、一時間でたったの2台しか見つからなかったわけではない!」
「というのも、探索開始から一時間が経過するまで『草ヒロ“撤去”物語4』を進めていくと、ボスたちは一時間経過するまで動くことができないため、物語の最初の方が“新入りパート”ばかりになってしまうのだ。そうなると、ボスたちの活躍が長い間見ることができなくなってしまうため、ボスたちの見せ場を作るという意味で、新入りたちが見つけたジムニーとハイゼット以外の草ヒロに関する物語は一旦すっとばし、ボスの探索状況をお見せするというわけだ。。。」
「とりあえず今回と次回は“ボスパート”にしておくから、ボスたちのファンの諸君は、ありがたく思うことだな!…それでは、また会おう!」
ボス 「…さて、もう10時だ。我々も出発するとするか。」
山中 「ええ!どんどん見つけて奴らに思い知らせてやりましょう!」
ボス 「おいおい、だから言っただろう。気合を入れるのは構わないが、こっちはあまり躍起になる必要はない。いつも通りに探索して、いつも通りの結果を出すだけでいいのだ。」
山中 「そうでしたね…申し訳ございません、ボス!」
上田 「これであたしたちが勝てば奴らはその程度の連中、向こうが勝てば見込みのある連中だと分かりますし、ここは本気を出さずにいつも通りでってことですものね。」
ボス 「そうだ。」
秘書 「…それでは、早速出発いたしましょうか。」
ボス 「そうだな…さて、どこへいこうか。」
上田 「長野県を探索するのは久々ですし…どこへ行けば草ヒロがたくさんいるのかは、ある程度予測できてもそれ以上は運になってしまいますよね。」
山中 「おう、リンゴの言う通りだ。ま、ここでいろいろ考えててもしょうがねぇし、とりあえず畑や果樹園ののある地域へ向かいましょう、ボス!」
ボス 「うむ。…とはいえ、新入りの連中と遭遇するのもなんだし、奴らが向かっていないエリアがいいな。」
山中 「やはりそうですよね!」
秘書 「…信濃様。マップで検索したところ、具合の良さそうなエリアが見つかりました。」
ボス 「おお、水篶よ、ご苦労。さすがに仕事が早い。」
秘書 「大変恐縮でございます。」
ボス 「では、水篶が見つけた穴場エリアへ向かうとするか。…さて、どんな草ヒロが見つかるだろうな…ククク。」
上田 「腕が鳴りますね!」
山中 「しゃーっ!いっちょ探したるか!」
――新入り連中が向かった先とは反対方向へ走り、盆地のはずれの穴場畑作地帯へとクルマを走らせるボス。峠道を颯爽と駆け抜けていた…――
ボス 「ククク…気分のいいワインディングロードだ。草ヒロ探索をしているということをつい忘れてしまいそうになるぞ、ハハ…。」
山中 「ボスの運転は乗ってて気持ちいいっす!荒過ぎず退屈過ぎず、運転してない俺でもその楽しさは伝わってきますよ!」
ボス 「フフ…そうかそうか。」
上田 「フーガでもこうなんですから、BRZだと更に楽しいんじゃありませんか?」
ボス 「だろうな。しかしこんな道が長野にあるとは知らなかった。」
上田 「そうなんですかー。」
ボス 「長野県は探索だけでなく、ドライブにも訪れたことが何度かあるんだが、有名どころの山道ばかりでここは走ったことがなかったのだ。これは、オフの日にBRZで走りに来てもいいくらいだ。…水篶よ。いい穴場を見つけてくれたな。感謝する。」
秘書 「信濃様にお褒めの言葉をいただき、大変光栄にございます。…しかし、お言葉ですが、私が探したのは草ヒロの穴場でして、ドライブコースの穴場などではないのですが…。」
ボス 「分かってる分かってる。だが、結果的にドライブコースの穴場だということが分かってよかった。草ヒロが見つからなくてもお手柄だぞ。」
秘書 「ありがとうございます。」
上田 「確かに、山道に入ってからも一向に草ヒロの気配がありませんよね~。」
山中 「そりゃそうだろリンゴ。この山道を抜けると畑作地帯が広がってるんだから、この道沿いにはないだろ。基本、草ヒロってのは耕作地や市街地にあることが多いんだからな。」
上田 「そうですよね!いやぁ、あたし、水篶さんのことだから、畑作地帯に行くまでにこのルートを選んだのも、この道沿いに草ヒロがいるかもしれないって予測を立てたからかと…」
秘書 「……上田様。そうおっしゃってくださるのは大変有難いのですが、私はそこまでは考えておりませんよ。」
上田 「アハハ、いいんですよ。そうですよね~さすがに…」
山中 「あっ、草ヒロだ!?」
上田 「ええ!?」 ボス 「なに…!?」
秘書 「まさか…」
上田 「水篶さんすごい!やっぱり予測してたんですね!」
秘書 「いえいえ、全くの偶然でして…」
ボス 「偶然だとしても、手柄は手柄だ。なにせこのルートを選んだのはお前なのだからな、水篶よ。」
山中 「オイオィ、やっぱ水篶さんは隅に置けねぇすわ!」
秘書 「とんでもございません…!」
ダン!ダムッ!ダッダンッ…!!
No.031
スバル レオーネ4WD
ジャマレベル:★★☆☆☆(私有地の家の軒先にあるため、公共の邪魔になっているとはとても言えないが、この家を売りに出すとなればかなり邪魔な存在となるだろう。)
景観悪レベル:★☆☆☆☆(ボディの状態は現役同然だが、樹液による汚れが目立つため、放置車両であることはすぐに分かる。自然の景観も汚しているとは言えようが、やはりボディの状態が良く草木の陰になって目立ちにくいから、このくらいが妥当だろう。)
貴重レベル:★★★☆☆(この型のレオーネは売れたとはいえ、現在はあまり見られない。セダンだと尚更だろう。)
総合評価:私が若い頃にあこがれたクルマの一つだ。それがこんな欠品の少ない状態で放置されているとなれば、いただくほかないだろう!
山中 「おぉ凄ェ…!レオーネじゃんコレ!」
ボス 「ほう、これは懐かしい…!私がまだ二、三十代だった頃に売られてたレオーネだぞ。私の友人もこれに乗っていて、一緒にドライブしたこともある。」
山中 「へぇーっ!」 上田 「そうなんですか!」
ボス 「レオーネと言ったら、これまでは田舎者が乗る田舎臭いクルマという印象しかなかったのだが、この3代目にモデルチェンジしてからいきなりデザインが都会的になったもので驚いたんだ。突然垢ぬけたというか、都市部で乗っても風景に合致するというかな。およそ四駆とは思えないデザインだと思わないか。」
上田 「確かに、すごく直線的でシャープなデザインですし、ホイールのデザインも未来的でシンプルにかっこいいですよね。正直、今でも通用しそうなデザインだと思います。」
ボス 「フフフ、だろう。」
山中 「ボスもレオーネのデザインに惹かれていたのですね。俺も、このレオーネが出た当時は子供だったんで知りませんでしたが、中学生くらいの頃でもまだ販売されていたのでよく覚えてますよ。さすがに90年代に入った頃には古臭く見えましたけど、それは曲線的なデザインが流行りだしたからであって、このクルマのデザイン自体の完成度は高かったと思ってました。」
上田 「山中さんもレオーネってクルマ知ってたんですね。あたし全然知らなかった…。」
ボス 「まあ上田は若いから、まだ生まれてなかっただろう。レオーネも、この代を最後にしてインプレッサにバトンタッチしてしまったし、若者が知らなくても無理はないな。」
山中 「あれだけ売れたクルマなのに、なんだか悲しいですね。」
ボス 「ツーリングワゴンが出た後なんかは凄かったぞ。スキーブーム一歩手前のスキー人口が増えてきた時期とも重なって、ツーリングワゴンに取り付けたキャリアにスキーを載せてスキーへと向かう者が結構いたのだ。」
上田 「ボスもスキーしてたことがあるんですか?」
ボス 「うむ。あの雪の上を滑る独特の感覚がどうにも楽しくてな。病みつきになってしまった時期もあった。」
秘書 「信濃様はいかなることもできますからね。」
ボス 「ククク、よせ水篶よ。…いずれにせよ、レオーネがバカ売れしてた時に休日に眠い目をこすってスキーへ向かった日には、本当にレオーネが多かったのだよ。」
山中 「四駆と言えばジープタイプのRVか、商用上がりのワンボックスカーくらいにしかなかった時代を考えると、ワンボックスよりも洒落てるレオーネが四駆として売れたのは、自然の摂理ってか当然のことってわけですね。」
上田 「ほとんどのクルマに4WDが設定されている今では、考えられないことですね~。」
山中 「リンゴが生まれたころはRVがブームだったし、それで一気に四駆がメジャーな存在になっていったんだろうな。」
…………
…………
ボス 「…うーむ。見た感じ欠品もほとんどないし、外観はほぼ新車の状態を保っているようだ。」
上田 「……!…見れば見るほど、いい草ヒロだと分かりますよね!」
ボス 「うむ。」
山中 「錆もなくて樹液で汚れているだけのようですし、洗車すれば新車みたいにピカピカになるかもしれませんね、ボス!!」
ボス 「フフフ…そうだな。」
山中 「中身はさすがにダメでしょうけど…。」
ボス 「…が、レストアすればどうにでもなるだろう。」
山中 「…お、ということは…」
上田 「やはり…!?」
秘書 「コレクションスペース行きでございますね。」
ボス 「フフフ……よく分かったなお前たち。これはちょっと私の腕が鳴ってきた…。いつかはレストアして動くところまでもっていきたいものだ。」
秘書 「そうすれば、かつてレオーネに乗られていた信濃様のご友人様にお見せして、いいサプライズになりそうですしね。」
ボス 「まったくだ。水篶よ。コレクションスペース行きということで手配しておいてくれ。」
秘書 「承知致しました信濃様。ちなみに、データベースへの登録は既に完了しております故、いつでも出発可能でございます。」
ボス 「ご苦労。…では、記録も終わったようだし、クルマに戻って畑作地帯へ向かうぞ!」
山中・上田 「ハイっ!」 秘書 「承知致しました…!」
バムッ!…ダムッダダンッ!!
ボス 「…いやはや、それにしても凄まじかった。やはりドライブコースの穴場だけでなく、草ヒロの穴場かもな、この山道は。」
上田 「この調子で山道で見つかれば、本当にそうですよね!」
山中 「この先の畑作地帯でも期待できそうだな!」
上田 「ええ!」
つづく
…その後、この草ヒロは撤去されてしまったそうな。
ストリートビューより…“その後の様子”
撤去前の様子です。
撤去後が…
ご覧の通り。
草が多い季節に撮影されたようなので、少し見づらくはなっていますが、撤去前の画像と見比べていただければお判りいただけるように、明らかに草ヒロがいなくなっています。
自然豊かな山道の景観を汚す忌まわしき草ヒロは、我々の手によって撤去され、ボスの手によっていつか現役車両として甦ることでしょう。
「この物語と、この物語に登場する団体・人物は全てフィクションだ。実在するものとは一切関係無いのだよ。」
「ボス!久々にコレクションスペース行きの草ヒロが見つかってよかったですね!」
「ククク…状態がよく、懐かしいクルマの草ヒロというものは、滅多に見つからないものだからな。」
「地域の景観も守ることができ、捨てられていたレオーネは復活して、ボスも喜ばしい…!一石三鳥の大手柄ですね!」
「ククク…。朽ちているクルマをただただ呑気に眺めて撮影するだけで、後は野となれ山となれでほったらかしにしておく草ヒロ好きなんぞよりも、我々の方がよほど社会に貢献している上、建設的だ。」
「まったくです!」