『草ヒロ物語』について知りたい方はコチラ
『草ヒロ物語4』の登場人物について知りたい方はコチラ
笛吹 「いくらたいくんがいるからと言っても、できるだけ私たちの力で草ヒロを見つけなくっちゃ!」
清里 「うんうん!僕たちもがんばるぞー!」
東御 「ま、見つけられるんなら出来るだけ自力で見つけた方がいいもんな。助けが必要な時は、いつでも助けてやるし、情報が入手できればその都度教えてやるから、お前らはお前らで頑張れよっ!」
清里 「ありがとう大気!」 笛吹 「ありがとー!」
助手 「うーん…この果樹園地帯、ボクのカンだと、まだ何かいそうな気がするんですよね~。」
東御 「おや。助手さんのカン、当たりますかねぇ、博士?」
博士 「フン。果たしてどうじゃろうな。」
助手 「えー、博士なんですかその反応は!一体何年博士の下で草ヒロを研究してきたと思ってるんです?」
東御 「そんな長い付き合いになるんすかお二人?」
助手 「うん。草ヒロ研究所がここまで運営できたのも、このボクがいたからというのも一つの要因じゃありません?」
笛吹 「草川さん、なんか強気ですね~笑」
博士 「わかったわかった。確かにオヌシは、ワシの下で長年鍛錬を積んできたのう。…じゃが、ワシから言わせればまだまだじゃぞ。」
清里 「博士ってば厳し~」
博士 「ワシの目の黒いうちは、草ヒロ研究所の看板はオヌシに任すことはできんじゃろうな。」
助手 「あーそうですか…!じゃあもういいですよ…でも、いつかはゼッタイ博士を超える草ヒロ博士になってみますから!」
博士 「ほう、望むところじゃ!」
東御 「…となれば、まずはさっき助手さんが立てたカンが当たってもらわないとなぁ?」
助手 「うーん…やっぱり自信がなくなってきたような…」
笛吹 「草川さん!やりましたよ!」
助手 「え?」
笛吹 「向こうに草ヒロがいますよ!」
助手 「ホ、ホほんと!?」 清里 「ええーっ!?」
博士 「フン。果樹園なぞそこいら中に広がっとるんじゃから、こんな予測誰にでも立てられるわ。」
助手 「も―博士ったら!ボクだってなにも、博士を見返してやろうとか言う気持ちであんなことを言ったわけじゃないんですからね。そうスネないで…」
清里 「でもすごいです助手さん!…まあ、見つけたのはスイちゃんですけど…笑」
助手 「清里くん、それは行っちゃいけないよ?」
清里 「アハハっ!スミマセンすみません!…いやー、スイちゃんお手柄!よかったね!見つけられて!」
笛吹 「ありがとレイレイ!」
助手 「もー、話をそらさない!」
博士 「ほらもう、オヌシら行くぞ!また草滅会の輩に嗅ぎつかれるかもしれんぞ!」
清里・笛吹 「はーい。」
東御 「………」プーッ
助手 「ほら大気くんも、いくよ!」
東御 「……あっサーセン!行きます!」ガラガラ…
No.037
スズキ キャリイワイドバン
1976~79年式
用途:物置 場所:果樹園(ブドウ)
○ 助手メモ ○
やはりボクのカンは当たっていた!…って、得意になりたいところだけど、博士の言う通りこの一帯には果樹園が広がっているから、あのハイゼットだけしか見つからない、なんてことはまずありえないということは、草ヒロ趣味人ならだれにでもわかるんだよね…ハハ。
ところでこのキャリイだけど、屋根がさびていることを除けばかなり状態がいい。整備点検シールを見る限りでは、結構長いこと草ヒロになっているようだけど…。
バンパーがなくなっているのが、更に白さに拍車をかけて状態がいいように感じるのかなぁ。
P.S.
ボクはいつも博士と探索しているし、博士がいるときはいつも博士がこのメモを書いていたから、ボクがこの草ヒロメモを書くのって、すごく久々な気がした。研究所にきて間もない頃…ボクがまだ助手見習いだった頃に博士に書くように言われて書いて以来かも知れない。
書いていてちょっと懐かしい気分になったよ。
助手 「キャリイのようですね…あそこに名前が書いてありますよ、博士!」
博士 「うむ。…キャリイ…ワイドか。なんか“ワイド”と付く軽トラっていっぱいあった気がするのう。」
助手 「確かに。クルマに詳しくないボクですけど、これまで草ヒロを見つけてきて、ミニキャブだとかハイゼットだとかにもワイドってついてるものを見た記憶はありますからね!」
笛吹 「たいくん、解説できる?」
東御 「もっちろん!…いろんな軽トラに“ワイド”というサブネームが付けられまくった謎の“ワイドブーム”、これは、軽規格が変更されたことと密接に関係があるんですよ。」
清里 「あ、さっき見つけたハイゼットのときも、『けーきかく』ってやつが変わったことが話題に上っていたよね。」
東御 「そうそう、玲、いいとこついてくんねぇ!」
清里 「イェーイ!!」✌
助手 「あっ、東御くん分かった。」
東御 「ハイ?」
助手 「軽自動車の排気量が550ccに拡大されて、サイズの上限も更に大きくなったから、その分を荷台や荷室スペースの拡大に使えるようになって、どの軽トラも先代よりもワイドになったから、それをアピールするためにワイドってつけたんだ!」
東御 「その通り!助手さんさえてますね~。」
助手 「へへへ…」
笛吹 「なるほどー」[←実はよく分かっていない] 清里 「確かに理にかなってるね!」
博士 「車名からでも、軽自動車の歴史が読み取れるというわけじゃな。」
東御 「そうですね、博士!」
博士 「ま、クルマのウンチクはワシにとってはどーでもいいんじゃが、それよりこのキャリイを草ヒロ学的観点から見てみても面白いんじゃないのか。」
東御 「……ぐっ…」
助手 「まあ、草ヒロ研究者であればそっちの視点から見ることも大事ですよね。」
博士 「例えば錆に着目してみるとじゃな、このキャリイは年式の割にはそこそこボディはしっかりしとるじゃろ。」
清里 「さっきのハイゼットほどではありませんけど、これも美白ボディですよね。」
博士 「じゃろう?これはこの草ヒロが果樹園の中にいるわけではなく、果樹園のはずれに織ることで、農薬が付着しにい環境にあるから、これほどボディの損傷が少ないのじゃ。」
清里・笛吹 「ふーん…」
博士 「その証拠に、果樹園がすぐそばにある側…つまりワシらから見て右側の面はまばらに錆ができとるんじゃが、果樹園が近くになくて見通しがよい側、つまりワシらから見て左側の面はどうじゃ?」
清里 「あーっ、確かに右と比べると更に錆が少ない!」
笛吹 「ホントだ!」
助手 「ということは、果樹園に散布された農薬が付着しやすい側がより錆びているということは、草ヒロの錆の原因の一つが農薬にある、ということが予測できますね。」
博士 「そういうことじゃ。…フン。オヌシもまともな思考ができるようになったようじゃの。」
助手 「余計なお世話ですよ博士!一体何年博士の下でやってきてると思ってるんですか?」
東御 「またその話かよwww」
博士 「…まあよいわ。そして屋根が集中的に錆びとるのは、農薬だけでなく、雨が当たりやすいからじゃ。鉄が錆びやすくなる条件は、空気と触れる以外にも、水と触れること、というのもあったじゃろう。」
清里 「…わー、なんか小学校の理科の授業みたいになったね~。」
笛吹 「え~っ、わたし理科きらーい!」
助手 「まあまあそう言わずにね、笛吹さん…」
博士 「じゃが、こうして身近な例から考えると、面白いと思わんか?…空気だけでなく、水とも振れやすいからこそ、屋根がここまで錆びとるんじゃぞ。興味深いと思わんかね。」
笛吹 「うーん…たしかに…?でも、理科はなぁ。」
清里 「スイちゃん、根っからの理科アレルギーだもんね…ハハ」
博士 「まあ、ここは塾や学校でもないから、別に好きになってもらう必要も得意になってもらう必要もないんじゃが、草ヒロ研究にはある程度理科…というより化学じゃな。化学の知識が役に立つということを覚えておくんじゃぞ。」
助手 「あとは、地学なんかもちょっとだけ役に立つんだよ!」
笛吹 「ちがく~?なにそれ?」
東御 「綾って文系だもんな。地学なんて知らないだろ。」
清里 「僕もよく知らないよ~。」
東御 「あ、玲も文系だったな。」
博士 「…東御よ。草ヒロというものを観察するにあたって、確かにクルマの知識も大事じゃが、草ヒロ学的観点から草ヒロを考察することの方がより重要で面白いということが分かったじゃろ?」
東御 「……ま、俺は草ヒロ好きですし、そんなこと知ってましたよ。面白いかどうかは別っすけどね。」
博士 「なんかトゲのある言い草じゃのう。」
東御 「だって博士が、クルマなんてどーでもいいとかなんとかいうから…」
助手 「なるほどねー。…ちょっと博士?言葉遣いには気を付けてくださいね?ボクはもう慣れっこですけど。」
博士 「スマンスマン。いつも長年助手と接しとるだけじゃったから、ついつい物言いがガサツになってしもとったかもしれんな。」
助手 「ガサツなのは元からでしょう…」
博士 「なんじゃ?何か言うたかの?」
清里・笛吹 「アハハッ!」
助手 「いえ?なんでもありませんよ?草ヒロ学的視点で草ヒロを見たことですし、早く次の草ヒロを探しましょー!」
博士 「こら!ワシを無視するでない!オヌシ、今絶対何か悪態ついたじゃろ?」
清里・笛吹・東御 (実は全部聞こえてるんじゃぁ…)
つづく(『草ヒロ物語4』を通して読みたい方はコチラ)
――ちょうどその頃、小布施と飯田は、小大笑学園の近くにあるカフェにて落ち合い、なにやら話をしていた…――
前回のおはなし(小布施&飯田パート)
…………
飯田 「あっ、また“例のあれ”がきましたよ。」
小布施 「そうか。さっそくアイツに伝えないとな。」
飯田 「しかし、***さんに頼んだとして、上手くいきますかねぇ。」
小布施 「奴の腕は信頼できる。問題は、相手方がどう出るかなんだ。下手に言いくるめられでもしたら、ここまでの作戦が台無しだからな…。」
飯田 「だから俺はそのことを言ってたんですよ。だから、こっちもスキを突かれないような盤石な証拠を突き付けてやらないと…」
小布施 「おう。だからこそ奴に頼んでるんだし、twitterやってるお前にもこうして協力をしてもらってるんじゃねぇか!俺の計算だと、このまま証拠をかき集めていけばぜってぇ大丈夫なはずだ。」
飯田 「まったく…その自信はどこから…」
小布施 「聞こえてんぞゴルァ…!?」ピシィ!!
飯田 「いてっ!…ったく、まあ、先輩についていけば大丈夫っていう謎の安心感があるのは僕も否定しませんけどね。」
小布施 「謎のってなんだよ…!?」
飯田 「はいはい、普通の安心感ですよー。これでいいでしょう。」
小布施 「心がこもってねぇっ!」
…………
つづく(小布施&飯田パートのみ見たい方はコチラ)
「この物語と、この物語に登場する団体や登場人物は、全部ひっくるめてフィクションじゃ。実在するものとは、一切関係ないわい。」
「今日は久々に草ヒロ研究所っぽい、実りのある話ができましたね!」
「そうじゃな。ここ最近下らん世間話や、草滅会の新入りどもとの下らん掛け合いでこの日誌を埋めとったからのう。」
「やはりずっと同じような展開だと飽きてきてしまいますからね。マンネリ打破のためにも、扱う話題はなるべく変わった方がいいですよね。」
「うむ。毎回草ヒロ学的草ヒロ講義じゃったとしても、それもまたマンネリになってしまうし、コロニーのヤツには話をうまい具合に考えてもらわにゃならんわな。」