規制標識(全59種類/内47種類撮影済み/6種類紹介済み)
大型乗用自動車等通行止め(305の2)
属性:規制 レア度:★★★★☆
意味:大型乗用自動車と特定中型乗用自動車は通行してはいけません。
発見数:2枚
関連標識:通行止め/車両通行止め/二輪の自動車以外の自動車通行止め/大型貨物自動車等通行止め/特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め/二輪の自動車・原動機付自転車通行止め/自転車以外の軽車両通行止め/自転車通行止め/車両(組合せ)通行止め/歩行者通行止め/専用通行帯/路線バス等優先通行帯
大阪府にて 2011年8月13日撮影
前々回ご紹介した、『大型貨物自動車等通行止め』と対になる標識で、トラックマークが描かれていたそれに対して今回の『大型乗用自動車等通行止め』にはバスマークが描かれています。
簡単に言ってしまえば、大型のバスの通行を禁止する標識ということになりますね。
具体的に言うと、大型乗用自動車(大乗)と特定中型乗用自動車(特定中乗)は通行止めとなります。『大型貨物自動車等通行止め』で規制対象だった大型特殊自動車については、“大型乗用自動車等”に含まれないため、この標識では規制対象外になります。
前々回は貨物自動車の定義とその分類について解説しましたが、今回は乗用自動車の定義とその分類についてご説明していきましょう。
乗用自動車というのは、『専ら人を運搬する構造の自動車』(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令より)であり、貨物自動車と対を成す存在の自動車であります。
貨物自動車同様、乗用自動車も大型乗用自動車(大乗)、中型乗用自動車(中乗)、準中型乗用自動車(準中乗)、普通乗用自動車(普乗)の4種類に分類され、それは車両総重量と乗車定員によって決定されます。また、中型乗用自動車は特定中型乗用自動車と特定中型乗用自動車以外の中型乗用自動車の2つに更に細かく分けられます。
車両総重量11,000kg以上 または 乗車定員30名以上 の乗用自動車
⇒ 大型乗用自動車
上記の条件をいずれも満たさない乗用自動車のうち
車両総重量8,000kg以上 または 乗車定員11名以上 のもの
⇒ 特定中型乗用自動車
上記の条件をいずれも満たさない乗用自動車のうち
車両総重量7,500kg以上 のもの
⇒ 特定中型乗用自動車以外の中型乗用自動車
上記の条件をいずれも満たさない乗用自動車のうち
車両総重量3,500kg以上 のもの
⇒ 準中型乗用自動車
上記の条件をいずれも満たさない乗用自動車
⇒ 普通乗用自動車
…というわけで、日野・セレガやいすゞ・エルガのような30名以上が乗れるバスは大型乗用自動車に、三菱ふそう・ローザやトヨタ・ハイエースコミューターのような11人乗り以上29人乗り以下のバスは特定中型乗用自動車ということになります。
乗用自動車は11名以上が乗れる時点で車両総重量に関係なく特定中型乗用自動車になってしまうため、貨物自動車よりも厳しめになっています。
ハイエースコミューターは見た目ではそれほど大きくない(車両総重量が最も重いものでも3,010kgにしかならない)ため、この標識があってもついつい進みそうになってしまいますが、通行できないことになってしまうため注意しましょう。
…しかし、準中型乗用自動車と特定中型乗用自動車以外の中型乗用自動車に該当するクルマって、果たして存在するんでしょうかねぇ?
『車両総重量は7,500kg以上8,000kg未満だけど、乗車定員が10名以下ですー』なんてクルマ、乗用自動車では存在しないと思うんですけど…笑
『3,500kg以上7,500kg未満だけど、乗車定員が10名以下ですー』なんて乗用自動車もない気が…。
これらはほとんど貨物自動車のために作られたような区分でしょうな。
それはさておき、上記のレア度をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、この『大型乗用自動車等通行止め』は★×4というかなりレアな標識です。割とどこにでもある『大型貨物自動車等通行止め』と比較すると今回ご紹介する標識は滅多に見かけることはありません。
標識をあまり意識しない方も、よくよく考えるとバス単独の絵柄の通行止め標識はあまり見たことがないのではないでしょうか?
なぜこの標識がレアなのかというところですが、いくつか理由が考えられます。
まず、大型自動車等を通行止めにしたいなら、『車両(組合せ)通行止め』を用いてバスとトラックの絵柄を一つの標識にまとめておいた方が見た目にもシンプルになるため、『大型貨物自動車等通行止め』と『大型乗用自動車等通行止め』の“お団子”で設置しなければならない合理的な理由がないという理由。
もう一つは、『大型貨物自動車は通ってもいいけど、大型乗用自動車は通ってはダメよ~』というシチュエーションが少ないという理由。
大型乗用自動車よりも大型貨物自動車の方が車両総重量が大きくなりやすいため、必然的に大型乗用自動車は通ってもいいけど大型貨物自動車は通ってはいけないという道路の方が多くなるのです。
※ 10tトラックは最大積載量が10tのトラックなので、荷物をいっぱいに積むだけで10tに到達してしまう。そこに車両自体の重さも加えるとさらに重くなる上、トレーラーになると車両総重量が25tを優に超える。それに対し、大型バスは人を乗車定員MAXまで載せた状態でも15tを超える程度にしかならない。
では、どういう状況だったらこの標識が設置されるのかというお話に移ります。
① 『特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め』とお団子で設置される場合
これが最も多いパターンでしょう。
『特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め』は、前回ご紹介した通り“積 x t”とトラックマークが記載された補助標識とセットで一つの標識という扱いのため、特定の最大積載量以上の貨物自動車と大型乗用自動車を通行止めにしたいときは、『車両(組合せ)通行止め』を用いることが出来ません。
すると、『特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め』と『大型乗用自動車等通行止め』をお団子で設置するしかないため、結果的に仕方なく『大型乗用自動車等通行止め』が使われるというわけです。
今回ご紹介した標識も、半ば反則とも言えるそのパターンでした笑
なので、トラックマークとセットではない設置例が本当にレアといえるのかも知れません。
② 既に大型貨物自動車等の通行が規制されている道路で更に大型乗用自動車等を通行止めにしたい場合
これも仕方なく『大型乗用自動車等通行止め』を設置するしかない状況ということで、レア度は下がりますが、見た目では単独で設置されているように見えるので嬉しいところ。
『大型乗用自動車等通行止め』が設置されている地点よりも前の交差点で『大型貨物自動車等通行止め』が設置されて大型貨物自動車等の通行が規制されている場合、その先の道路から更に大型乗用自動車等を通行止めにしたい場合は、『大型乗用自動車等通行止め』を設置せざるを得ないというわけです。
③ 大型観光バスを通行止めにしたい場合
このパターンは大型貨物自動車等の通行はOKで大型乗用自動車等は通行止めにしたいというシチュエーションなので、純粋に『大型乗用自動車等通行止め』が設置されるレアパターンです。
大型観光バスが押し寄せてきて渋滞を引き起こしたり、路上駐車したりすると困るという道路がそれに該当します。
大型観光バスのみを通行止めにしたい場合ということで、“路線バスを除く”や“マイクロバスを除く”といった補助標識とセットで設置される場合がほとんどです。
④ 道幅は狭いが大型貨物自動車等は通行を許可せざるを得ない場合
このパターンも純粋に『大型乗用自動車等通行止め』が設置されるレアパターン。
採石場までの道が狭くとも、石を運搬する大型トラックの通行を禁じることはできないため、『それならせめて大型バスだけでも通行止めに…』ということで設置されるようです。
以上のように、『大型乗用自動車等通行止め』が設置されるパターンにはこういったものがあるようです。
僕はまだ2枚しか見たことがありませんが、ネット上にもそのようなパターンでの設置例があるようなので、いつか撮影に行きたいところですね!