住江製作所 フライングフェザー
1955年式
トヨタ博物館にて 2013年3月9日撮影
フジキャビン と共に50年代の軽自動車の歴史を説明する上で、必ずと言っていいほど引き合いに出されるのが、このフライングフェザー。設計者はフジキャビンと同じ富谷龍一氏で、「最も経済的なクルマを」という富谷氏の思想の下で誕生した車の第1弾です。
名は体を表すように事実、軽量であり400kgでした。第2弾のフジキャビンに比べると遥かに重たいですがそれは根本的にボディ材質が違うからであり、FRPを用いたフジキャビンに対してフライングフェザーは鋼板を用いています。よって、フジキャビンは相当進歩したと言えるでしょう。それでもとにかく軽量化が徹底されており、ボディはハンドメイドによる無駄のない形、装飾品の類を省いた外装に仕上がり、細いタイヤはバイクからの流用品で軽量化に一役買っています。ちなみに、駆動方式はRRで、360ccのVツインエンジンを搭載。リアの特異的な開口部から空気を取り入れる、空冷エンジンでした。
あまりにもシンプルすぎるデザインが受けなかったり、メーカーの経営難により1956年まででの生産に留まり、市販型はフジキャビンより少ない48台だったようです。
行き過ぎた簡略化が生産中止へ追い込まれた理由の一つでしたが、当時にはまだ合理主義は浸透していなかったのでしょうか。今でこそ環境やクルマの燃費を気にする時代になってきたのですから、“経済車”フライングフェザーをリメイクしたら結構売れそうな気がします。これはこれでデザインも悪くないと思うのですがねぇ・・・。