日野・ルノー 4CV(PA62)
1961年式
福山自動車時計博物館 2013年8月5日撮影
今はトラックの製造とバスの販売しか行っていない日野自動車ですが、嘗てはかなり短い期間ながらも、乗用車を製造・販売していた時期がありました。いすゞも同じではありますが、00年代前半まで日本向けに乗用車を製造していたいすゞよりも更に期間は短いです。
このクルマが、その日野自動車の乗用車。ルノー4CVといいます。
この日本車離れしたデザインと、ルノーという名前から察しが付くでしょうが、このクルマは日野の完全オリジナルではなく、フランスのルノー車が製造していた4CVという乗用車を、ルノーの技術指導を受けながら日野自動車が日本向けに変わりに製造していたという、所謂ノックダウン生産の自動車です。
1953年に製造を開始しましたが、それからわずか5年にして、ルノーから部品を全く調達せず日本で製造した部品のみを用いる、完全国産化を達成しました。完全国産化を達成してからは、更なる生産技術向上のために更に5年製造され、1963年にその歴史に幕を閉じました。
ここで培った技術は、後の日野自動車唯一のオリジナル乗用車であるコンテッサに受け継がれています。
日野ルノーは、日本にまだ乗用車が少なかった1950年代から製造を開始していたため、乗用車そのものが割と貴重な存在であり、軽量でキビキビ走る4ドア車という特性も持っていたため、タクシーとして用いられることが非常に多かったと言います。
なので、生産台数もかなりの数に上り、確かに珍しいクルマではあるものの、全く見かけないという程でもないのです。フロントグリルの"ヒゲ"が6本ある最初期型は非常にレアですが、この顔のモデルなら現在でも見かけることには見かけます。
草ヒロでは見たことがない日野ルノーですが、博物館やイベントでは何台か僕も見たことがあります。
このクルマ、全体的に愛嬌のあるスタイルをしていますが、個人的にツボなデザインなのがリア。
この何とも言えない形状の曲線と、リアエンジン故のルーバーとが合わさって、"ゾウの鼻の付け根"や"アルマジロの背中"を彷彿とさせるのです!子供の頃このクルマを知った時から、このリアのデザインは変だけどどこか惹かれるなぁと思っておりました。
皆さん、なんとなくゾウやアルマジロっぽいと思いませんか?