『草ヒロ“撤去”物語』について知りたい人はコチラ
『草ヒロ“撤去”物語3』の登場人物について知りたい人はコチラ
―――AM 6:30 草ヒロぼくめつ会本部玄関―――
ボス 「よし、いよいよ出発の時間だな。久々のドライブとしゃれこもう…!」
山中 「そうですね!ではボス、運転よろしくお願いします!」
上田 「お願いします!」 秘書 「宜しくお願い致します、ボス。」
山中 「そういや、ボスのクルマに乗るのって久々ですねぇ。」
上田 「あたしは初めてです!」
山中 「あれ?りんごお前、一回も乗ったことなかったんだっけ?」
上田 「ええ。」
山中 「すっげー快適だぞ~、フーガは!…さすがは日産が手塩にかけて開発した高級セダンだな。ユーノスカーゴを普段から運転してる身からすれば、フーガはつくづく天国みたいに感じるぜ~。」
上田 「クルマのジャンルが違いますし、多少はしょうがないですよ!」
ボス 「そういえば確かに、上田はまだ乗せていなかったな。このクルマは充分くつろげるほどの広さもあるし、ゆったりとした気分で探索を楽しむといい。」
上田 「ありがとうございます!ボスのフーガ、車内が広いのは勿論ですけれど、なかなかパワフルに走りますね!」
ボス 「そうだな。3.5リッターのV6エンジン、そして最高出力は280馬力だから、ちょいとアクセルを踏み込めば…」
ブロロロロ-ン!!
山中 「すげー!」 上田 「うわ早っ!」
秘書 「これは楽しそうですね…!」
ボス 「フフ…そうだろう?…とはいえ、もう一台のマイカーであるBRZの方がより操っていて楽しいのだがな。」
上田 「なんたってボスのBRZはMTですものね!そりゃあ運転していて楽しいでしょう!」
秘書 「それに、BRZはフーガよりもずっと軽いですからね。」
ボス 「そうだ。BRZにはターボも付いていないし、パワーこそフーガに間違いなく劣っているが、それでも軽い分あのクルマは間違いなくスポーツカーのスピリットがある。つづら折の峠道を走るときは、それこそクルマと対話をしている気になれるのだ。」
山中 「いや~いいっすね~!やっぱりスポーツカーって、憧れちゃうな~!」
山中 「ボス、急に開けたところに出ましたね。」
ボス 「さっきまで窮屈な谷だったが、左側だけ開放的になったな。ちょっとした集落に出てきたのだろう。」
秘書 「遠くの方に中央線が見えますね。」
上田 「…あ、水篶さん!今特急が通過しましたよ!」
秘書 「スーパーあずさ、ですね。特急はさすがに速いですね。」
山中 「下道ではさすがのボスも特急は追い越せませんよね笑」
ボス 「おいおい、よせよ山中よ。まるでこんな道でなければ特急を追い越せるほどのスピードを出せるみたいな言い草ではないか。制限速度をきっちり守るわけではないにしろ、どんな道路でも制限速度+20ぐらいの安全運転だぞ。」
山中 「ボス!これは失礼いたしました!……あれ?なんか遠くの畑に、草ヒロのようなものが見えましたよ!」
ボス 「何!?早速獲物がきたか…!」
上田 「やはりボスの仰る通り、高速でなくて下道を使って正解でしたね!」
秘書 「ええ。草ヒロがあるかも知れないというボスのご推察、見事的中でございます。」
ボス 「ククク…これはいいウォーミングアップになりそうだ…!」
山中 「しかし車種は何でしょう?…レアな個体だと撤去のし甲斐があるんだがな…。」
No.020
日産 バネットバン
ジャマレベル:☆☆☆☆☆(私有地の畑の中で、尚且つ広い畑だから全く邪魔にはなっていないだろう。)
景観悪レベル:★★★☆☆(この個体は特にコーティングの剥がれが酷い。錆は勿論、コーティングの剥離が汚らしさを倍増している。)
貴重レベル:★★☆☆☆(初代バネットは草ヒロの定番車種。我々草滅会も何度撤去してきたことか…。ただ、この色は珍しいと思うぞ。だから星は2つだ。)
総合評価:邪魔とは言えないが、せっかくの美しい田園風景を台無しにしてしまう草ヒロだ。撤去する他ないな!
山中 「バネットか!そんなに珍しいクルマでもねぇな。」
上田 「ですね~。でも、いきなり草ヒロを見つけられてよかったですね!」
山中 「まあ、そうだな!よくよく考えてもみりゃ、緑色のバネットなんて初めて見たし、意外と珍しい個体だったりしてな!」
ボス 「どうやら…畑の物置として使われているようだが、車内にはそれほど物が積まれているわけではないな。」
秘書 「ええ、車内に物がいっぱい詰まっていて汚らしくなっている草ヒロは多々ありますが、この個体は割とすっきりしているようです。」
山中 「…ってことは、もう使うつもりもないんでしょうかね?」
ボス 「ククク…こちらが新しい物置を用意してやってもいいから、とにかく撤去するんだな。」
山中 「まじまじと見てりゃ、塗装のコーティングが剥がれたり屋根がサビサビになっていたりして汚らしいですしね。」
上田 「それに、こんなだだっ広い畑地帯に居座られたら、かなり目立ってしまって折角の景色が台無しですもの。」
ボス 「全くお前らの言うとおりだ。この世の中に撤去する必要のない草ヒロなんてものはないのだからな!」
上田 「流石です!ボス!」
秘書 「ボスのお言葉、私の胸に響き渡ります。」
ボス 「では水篶よ、データベースに。」
秘書 「はっ、ただいま登録完了したところでございます。」
ボス 「さすがは私の秘書だ。仕事が早い。」
秘書 「はっ、お褒めの御言葉、有難く頂戴致します…!」
ボス 「では、次なる草ヒロを求めて出発だ!本日のメインステージは、こんな鄙びた山の中ではなく、草ヒロ桃源郷と“悪名”高い甲府盆地だからな。草研の連中よりも早く到着するつもりで向かうぞ!」
山中・上田・秘書 「ええ!」
上田 「どんな草ヒロが居るのか…考えると胸が躍りますね!」
山中 「この調子でドンドン発見して、ドゥンドゥン撤去しちまいましょうぜ、ボス!」
ボス 「ああ。我々の力を合わせるのだ…!ククク…。」
…その後、この草ヒロは撤去されてしまったそうな。
撤去された後の風景をご紹介するお馴染みのコーナー:“その後の様子”は、準備中でございます。
もう少しお待ちくださいね。
つづく
「この物語、そしてこの物語に登場する団体・人物は全てフィクションだ。実在するものとは一切関係無いことを覚えておいてくれ。」
「ついに…ついに、二年の沈黙を破って『草ヒロ“撤去”物語』が始まりましたね!ボス、オレ本当に待ちわびていたんですよ~!」
「…そうか、それは良かったな。この普段は冷静沈着な私でも、『3』が始まると聞いてちょっと驚き喜んだくらいだ…。山中は相当嬉しいだろう。」
「全く仰る通りです!これから、どんな草ヒロが撤去されていくんでしょうね~。」
「読者の諸君は気になっているだろうな。これからの展開に期待しておいてくれたまえ。」