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助手 「もうお昼ですねぇ。」ブロロロロ…ブン…
博士 「そうじゃな。」
見習い 「お腹すきましたー。俺~。」
助手 「ボクも~。」
見習い 「ねぇもう食べましょーよー。サイゼとかガストとかあるっしょどっかに。」
助手 「うん。この果樹園地帯にはないけど、この近くだったら…**駅周辺の国道沿いならいっぱいあると思うよ。」
見習い 「ですよねー。田舎って基本何もないクセして国道沿いだけミョーに発展してますもんね。」
博士 「カーディーラーやホームセンターなんかもよくあるのう。」
助手 「そうそう!ローカルだけどドデカいスーパーマーケットとかあったりしますよね。ウチの田舎もそういう町ですから。」
博士 「…っておいおい、昼メシの話や田舎あるあるで盛り上がるのも別にいいんじゃが、まだ草ヒロ探索は終わっとらんぞ!もう少し頑張るのじゃ!」
見習い 「頑張るのはただ座ってるだけの博士じゃなくて、運転してるセンパイじゃないですかね…。」
助手 「……www」
博士 「うるさい!ワシはオヌシらと違って目を光らせとるのじゃ!ただボサーッと座っとるだけじゃないわい!…そもそも、草ヒロ趣味人たる者、果樹園地帯や畑作地帯に来た時は、目を皿のようにして辺りを観察するのが鉄則じゃぞ!」
見習い 「ハイハイ…分かりましたよ!お昼我慢して草ヒロ探してればいいんでしょー。」
博士 「ハイは一回じゃぞ!最近の若いモンときたらいつもこうじゃ…!…それに、草ヒロのことを思たら腹なんぞ空かんわい!」
見習い 「…はーい…」
博士 「うむっ。それでヨロシイ。」……グゥ~~ッ!!
見習い 「…!………。」
助手 「………。」ブーンム…ボボボボブ…
博士 「…ま、まあ、草ヒロをあと一台見つければ、別にお昼にしてやっても構わんのじゃけどな。」
助手 「…っもー!博士ったら…笑」
見習い 「あんなこと言って、博士もシッカリお腹空いてるじゃないっスすかwww」
博士 「うるさいうるさいうるさーい!いっぺん黙るのじゃ!……お!?オぉ!?」
見習い 「…な、なんですか急に奇声なんかあげて…」
博士 「…く、草ヒロじゃ!」(…まさかこんなすぐに見つかるとはのう…。)
助手 「えっ!?」ブブルンッム…ブブフ…キッ…
見習い 「やったー!お昼だ~!メシが食えるぞーっ!!」
博士 「全く…しょうがないやつじゃのう。」
見習い 「ホントは博士も嬉しいんでしょ~?」
博士 「…おい草川。行くぞ。」バンッ!
助手 「ハ、ハイ!」バタン!!
見習い 「あ…ちょっと博士、ムシしないでくださいよ~っ!」ガラガラガラ…
No.033
日産 サニーバネット
1980~82年式
用途:物置 場所:畑
○ 博士メモ ○
同じ世代のバネットを今朝も見かけたが、面白いくらい状態が違うのう。原因は様々じゃろうな。
今朝見つけた個体は、崖っぷちに居座っておったわけじゃから農薬の影響はないじゃろうが、周りに遮るモンが何もないから雨風に当たりやすく、荒廃が進行していったんじゃろうな。
逆にこっちの個体は周囲に物置小屋や木などの障壁があり、雨風を多少はしのぎやすくしとるから状態がいいじゃろうな。
…無論、他にも色々な要因があると思うんじゃが、新入りどもにディスカッションさせると面白そうじゃ。
見習い 「…なーんだ~。草ヒロったってまーたバネットじゃないっスか~。」
助手 「同じ車種を沢山見つけるのも面白いと思うけどね。」
見習い 「…いやもうどうでもよくないっスか正直?…今朝見たばっかりの車種なんですし、早くお昼いきましょーよ!」
博士 「なんじゃと!?」
助手 「…草田くん、そんなにお腹空いてるの…笑」
博士 「草田ァ!」
見習い 「……っ!」ビクッ!
博士 「オヌシはなんにも分かっとらん!草ヒロを軽く扱うなぞ、草研の人間とは思えん発言じゃ!…これじゃから、車種しか気にしとらんモンは駄目なのじゃ…!」
見習い 「ぐっ…ど、どーゆーイミですかそれ…!」
博士 「オヌシは黙ぁって聞くんじゃ!」
見習い 「は、はぁい…。」
博士 「…よいか?…草ヒロはのう、たとえ同じ車種でも、よぉ朽ちとる草ヒロだったり、ピカピカな草ヒロだったり…一つとして同じものはないのじゃよ。」
見習い 「…はぁ。」
博士 「それだけじゃなく、用途も違えば置かれているシチュエーションや境遇なんかも違うんじゃ。決してどれも似たような無個性なもんじゃのうて、一つ一つ違う特徴をもっとるモンなんじゃよ。…草ヒロというもんはのう、元々特別なオンリーワンなのじゃ!」
見習い 「………。…つまり、この草ヒロも、世界に一つだけってことですか。」
助手 「草田くんが同じだって言ってた今朝のバネットとは全然違うよ。」
見習い 「…確かに…よくよく考えてみれば…。朽ち具合から用途から、置かれた場所まで…全て違いますね。」
博士 「じゃろ?…車種バッカ気にしとると視野が狭くなるもんじゃが、草ヒロ全体を俯瞰すると、全然別モンに見えるんじゃ。草研におるくらいなら…もとい、草ヒロ好きを名乗るくらいなら、そういう観点をもつことはとても大事なのじゃぞ!」
助手 「そうですよね。草田くんも気を付けるんだよ?」
見習い 「はーい…。」
助手 「では博士、もう出発しますか?」
博士 「うむ。」
見習い 「じゃあ次はお昼ということで…?」
博士 「ウムム…正直ワシはこんなにアッサリ見つかるなんて思わなんだが、『草ヒロを発見したら昼飯を食う』…そう宣言したんじゃから、男としては約束を守るしかないのう!」
助手 「おぉー!“今週の”博士はさっきからなんだかカッコイイですねぇ!」
博士 「…“今週”、とな…?」
見習い 「変にカッコつけちゃって…博士もなんだかんだでお昼食べたいだけでしょ~?」
博士 「…おい草川、とっととクルマを出すぞ。ちゃっちゃとメシ食って、新入りどもに負けないようにすぐ探索を再開するのじゃ。」
助手 「ハッ…はい博士!」
見習い 「……ちょっ、ちょっと博士~?またまたムシですかぁ~?」
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「この物語、そして物語に登場する団体・登場人物は、全てフィクションじゃ。実在するものとは一切関係ないわい。じゃが、草ヒロはちゃんとに実在するから、読者の諸君もいっぺん探してみると面白いかも知れんぞ。」
「そういやTNを見つけた後に小布施くんたちと別れて、それ以降ずっと会ってませんね。」
「草ヒロ探索競争をしとるわけじゃからの。」
「予定では『草ヒロ物語3』は全10回みたいですけど、ってことはあと1回で終わりじゃないですか。」
「それがどうしたのじゃ。」
「次回で合流できるんでしょうかね?」
「ああ、そんな心配をしておったのか。もしかしたら『草ヒロ物語4』は今回の探索の続きの物語ということかもしれんぞ?」
「なるほど…。これまでの傾向からすると、『草ヒロ物語』って1シーズン1探索というイメージだったんですが、続投することってあるんですか。それは意外な展開ですね。」
「いやいや、ワシはただ憶測を述べただけじゃから、本当にそうなるかは分からんぞ。ワシはコロニーなどではないんじゃから。…もしかしたら、次回で一気に話を結ぶんでいくムリヤリな展開が繰り広げられるということも、ありえなくはないぞ。」
「そうですねぇ。…いやァ、ついに最終回となる次回の展開、目が離せませんね!楽しみですよボク!」
「………。嫌に宣伝臭いセリフじゃ…。」