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マツダ センティア
リミテッド(E-HEEP)
1995~97年式
神奈川県西部にて 2015年4月2日撮影
※撤去されました
2年前にも紹介した個体。
あの時が初撮影ではなく、その数か月前に訪れており、これが初撮影でありました。
廃業した料理屋の裏に鎮座する高級セダン…。
バブル崩壊の縮図のようで虚しさを覚えます。斜陽もその哀しさに拍車をかけているかのようです。
…かつてのマツダは、バブルの好景気にノって車種展開とブランド展開を一気に拡大するという大風呂敷を広げました。
結果は大失敗。バブルの崩壊も手伝って、じわじわと経営難の沼に沈んでいきましたとさ。
…もし、マツダが経営難に陥っていなかったとしたら…マツダは、アンフィニ、ユーノス、オートザムに加えて、更にブランドを創設しようとしていたということをご存知でしょうか。
今回紹介するクルマであるセンティアは、その幻に終わったブランドと大いに関わりがあります。
以前のマツダは、乗用車から商用車まで何でも扱うベーシックなマツダ店、当時業務提携していたフォード車とマツダ車のフォードVer.を扱うオートラマ店、高級志向がウリの第一の新ブランド:ユーノスのクルマとシトロエンを扱うユーノス店、大衆向けの第二の新ブランド:オートザムのクルマとランチアやアウトビアンキといったイタリアンミニも扱うオートザム店、第三の新ブランド:アンフィニを扱うアンフィニ店(マツダオート店を改名)の5チャンネル体制を敷いていましたが、第四の新ブランドというのが、アマティ。
昭和60年代~平成元年のバブル絶頂期…日本の大手自動車メーカーは、海外の高級車とタメを張れるように、高級車を販売するための新ブランドを作ることに躍起になっていました。
トヨタはレクサス、日産はインフィニティ、ホンダはアキュラといった具合。
5チャンネルの販売体制を敷き、形だけでも大手メーカーになったマツダは、日本三大メーカーのように海外向けの高級ブランドを立ち上げようとしていたのです。
…そのブランドというのが、皆さんお察しの通り、アマティでした。
北米でディーラーを展開することも決まり、ブランドのロゴまで決め、更には販売車種までも決めるという用意周到っぷりでしたが、結局バブルの崩壊とマツダの経営難が重なり、いわゆる『アマティ計画』は白紙となったのでした。
アマティで販売しようとしていたクルマというのが、高級志向ブランド:ユーノスの一部のクルマ(500、800、コスモ)と、アマティのために開発が進められていたアマティ専売車種:アマティ1000です。
当時のマツダのフラッグシップカーであった、センティア/MS-9をもはるかに凌ぐ大柄な車体と屈強な大排気量エンジンを搭載するという、マツダの頂点に君臨させる思惑があったことが窺い知れます。
本当に発売ギリギリのところで計画を中止にしたらしく、自動車情報誌に予想スペックやデザインまでもスクープされていたようです。
ライバルはセンチュリーやプレジデントといったショーファードリブンカー。あわよくば日本にも導入され、『あのロードペーサーの復活』として、鳴り物入りで迎えられる予定だったことでしょう。。。
そんな、日の目を一切見ることが無く開発中止に終わってしまった悲運のクルマ:アマティ1000ですが、今回紹介した2代目のセンティアがアマティ1000の生まれ変わりではないかと、マニアの間でまことしやかに語り継がれているのです。
…やっと、アマティとセンティアが繋がりましたね!
ここまで飽きずに読んでくださった方、お疲れ様でした笑
なんでも、雑誌のスクープ記事に載ったアマティ1000が、その数年後に発売された2代目センティアのデザインに酷似しているというのです。スクープされたアマティ1000は、フロントもリアもサイドも、初代センティアとは全く異なるもので、明らかに2代目に似ています。
それに2代目センティア自体も、フラッグシップモデルにしてはオーナードリブン志向が強かった初代とは異なり、後席居住性を向上させたショーファードリブン使用にも耐えうる設計になっているのです。
…このことから考えられるのは、販売の割と直前まで開発が進んだアマティ1000用のボディを、急遽2代目のセンティアとして(そのまま、或いは改良して)販売したということ。
エンジンは開発が間に合わなかったのか、アマティ1000に採用予定だったW型12気筒4000ccエンジンは載らず、初代センティアと同じV型6気筒3000ccエンジンか搭載されています。
それはそうです。経営難に陥っているわけですから、エンジンは新規開発するわけにもいきません。
…にもかかわらず、ボディは完全新規開発という所も、この噂の信憑性を強固なものとしている気がします。
…信じるか、信じないかは、アナタ次第。
とは言え、この2代目センティアに、アマティ1000のスピリットが宿っているというのは真実でしょう。