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前回のおはなし
清里 「大気が見つけてくれたおかげで、さっそく一台草ヒロを記録できましたけど、この調子でドンドン見つかるといいですね!博士!」
博士 「ホッホ、そうじゃな。幸先の良いスタートを切れて良かったわい。」
笛吹 「わたしたちもたいくんに負けてらんないね!」
助手 「しかし、どこを探せばいいのやら…」
博士 「この辺りはそこいらじゅうに果樹園が広がっとるから、テキトーに走っとっても見つかりそうなもんじゃがのう。。。」
東御 「…博士!さっそく草滅会の奴らの居場所が分かりましたよ!」
博士 「なんじゃと?」
助手 「ハハ…ボクたち、さっきから東御くんにおんぶにだっこだね…。」
東御 「マリからLINEが来たんすけど…なんでも、ボスたちとマリたちで二手に分かれて探索しているようで、どっちがたくさん草ヒロを見つけられるかっていう草ヒロ探索勝負をしているみたいすよ笑」
助手 「へぇ!それは面白いなぁ笑」
笛吹 「なにそれーwww 昨日の私たちみたーいwww」
清里 「草滅会でも、考えることはみんなおんなじなんですね~。」
博士 「ククク…確かに徹のやつが考えそうなことじゃ。どうせ『お前らの力を確かめてみたい』だのなんだの言うとるんじゃろう。」
笛吹 「キャハッ、確かにそれ言いそうですよね~、ボスって笑」
東御 「…それで、ボスたちの居場所よりも、マリたちの居場所の方がここから近いみたいなので、そこ行きましょう!」
助手 「了解ですっ!」
博士 「色々とすまなんだのう。全くオヌシは頼りになるわい。」
東御 「ヘヘッ、どうってことないっすよこんぐらい!」
――大気が指定した範囲の場所をウロウロしていると…確かに本当に草ヒロが見つかった…!――
No.036
ダイハツ ハイゼット トラック
1976~79年式
用途:物置 場所:果樹園(ブドウ)
○ 笛吹メモ ○
たいくんのカノジョさんから仕入れた情報をもとに、たいくんがおおよその場所を示してくれたおかげで発見できた草ヒロ。
たいくんによるともう40年も昔の車らしいけど、状態がすごくいいと思う。
お肌がすべすべっていうか、果樹園の中にいるのに、荷台の部分を除けば全然錆びてないんだよ!
わたしも、レイレイのためにいつまで経っても変わらない綺麗なお肌を目指さなきゃ!
P.S.
それにしてもたいくん、一体どうやって情報を仕入れているのかな…?
…あ、LINEとかって言ってたっけ。
わたしは、人の情報に頼らずたいくんよりもたくさん見つけてみせる!
博士 「ホッホッ、草ヒロじゃぞ!」
助手 「うわぁ、まさか本当にいるとは…!」
東御 「ね、俺の言った通りっすよね!もう奴らはいなくなってしまったようですが、もう少し早く着ければ撤去を阻止できたかも…」
笛吹 「えー、てことはこれもう、草滅会が見つけちゃったってこと~?」
清里 「だって大気のカノジョさんの情報を横流ししてくれてるわけだから、仕方ないよスイちゃん!」
笛吹 「そっかー…。」
東御 「そうそう、悪ぃけど、その辺は割り切ってもらわないと!」
博士 「まあ、この草ヒロが存在したということを記録できただけでもよしとするのじゃ。今までほとんどの場合、ワシらが発見する前に奴らに撤去されてしまっとったからの。それを思うとありがたい事じゃて。」
助手 「ですね!…ところでこれはハイゼットのようですね。」
東御 「ネットでは“歌丸ハイゼット”だとか、“たまごハイゼット”だとか呼ばれているモデルっす。エンブレムによると…550ccのようですよ。」
助手 「えーっ、この見た目で550なんだ!」
清里 「たしかに、すごく古そうに見えますよねこの軽トラ!お目目もまん丸でかわいらしい~。」
笛吹 「レイレイ可愛いもの好きだもんね~笑」
清里 「えへへー、車は全然知らないけど、大昔の車のデザインはすっごく可愛いのが多くて好きだな~。」
助手 「ねぇ東御くん、このクルマについて解説できる?」
博士 「もはや草田の代わりじゃのう。」
東御 「えっへん!お安い御用っすよ。…これはですね、軽自動車の規格変更があって、排気量の上限が引き上げられたので、それに対応したモデルなんですよ。しかし、ボディは旧型なので、数年で新型のボディを載せた『ハイゼット55ワイド』というモデルになってしまいましたけどね。」
助手 「へぇーっ。解説ありがとう!」
博士 「それで、360ccのモデルはワイド55と併売されとったんじゃろ?旧規格の軽にしか乗れん軽免許所持者のためにな。」
東御 「そうですそうです!…博士も意外と詳しいじゃないですか~。ボンゴ見つけた時あんなこと言ってましたけど笑」
博士 「いや、ワシのじぃさんが農家での。軽トラしか乗らんいうて普通自動車免許でのうて軽免許を持っとったんじゃ。今まで乗っとった軽トラの調子が悪うなってしもての、買い替えることになったそうなんじゃが、その時は軽免許が普通自動車免許に統合されて数年経っとった頃で、軽免許は360ccまでの軽しか乗れんちゅーことで、じゃあ550ccの軽トラにも乗れる普通自動車免許を取得するか、軽免許のままでも乗れる360ccモデルのハイゼットを新車で買うかっていう話をしとったんじゃよ。」
東御 「それで知ってたんですね~。」
博士 「そうじゃ。」
東御 「綾、草ヒロメモは書き終わったか?」
笛吹 「うん!博士の長話中にすっかり書き終わっちゃった!」
博士 「フン。長話で悪かったの。」
笛吹 「あ~ん、スミマセン博士~。」
清里 「僕のスイちゃんが失礼しました~。」
笛吹 「今度は博士の昔話ちゃんと聞きますから!またお願いしますぅ!」
博士 「まったく…」
東御 「でさ、もう草ヒロメモも書き終わったことですし、皆さんそろそろクルマに戻りましょう!」
清里 「えぇ?早くない?」
笛吹 「そーだよね。ねぇたいくん、もーちょっといようよ~」
東御 「えー、どんどん探索しちまおうぜ。草滅会にどんどん先越されるよ?」
助手 「東御くん、なんか急いでる?」
博士 「うむ、東御よ。そうまでして急がんでもよいじゃろう。せっかく長野に来たんじゃ。長野ならではの草ヒロをじっくり味わうのもいいんじゃないか。」
助手 「博士もそう思いますか。博士、今回は嫌に落ち着いてますね。」
博士 「嫌には余計じゃ。」
東御 「…わかりました。そうですよね。もう少しいましょうか。……あ、もし奴らが来たらまずいんで、僕だけクルマの中に戻ってますね。」
清里 「あっそうか、大気ってスパイってことになってるから、草滅会の人たちに僕たちと一緒にいるところを見られるとまずいのか。」
東御 「そーなんだよー」
笛吹 「たいくんもいろいろと大変なのね。」
助手 「それでボクらを急かしたってわけねぇ。」
東御 「そんじゃ、そういうことで…オレはまってますからごゆっくり~」
前回のおはなし(『草ヒロ“撤去”物語4』より)
キン…!
キキン!
キキッ!!!
助手 「ん?」
原 「ちょっとアンタたち、そこどいてくんないかぃ?」
助手 「え?あっ、スミマセン!」(もしかしてこの人たち…)
大月 「ふぅん。ボディはきれいだけど、タイヤが外れて放置車両だってことはまる分かりだし、景観維持のためにも“撤去”しなくちゃね!」
松本 「だねー。」 笛吹 「撤去!?」
助手 「え?…や、やっぱりこの人たちって…」ジー…
清里 「あのスミマセン。ちょっとお聞きしたいんですけど、あなたたちって、草ヒロ撲滅会の会員ですか。。。?」
原 「ああん?なんだって草滅会を知ってるのさ。」
松本 「アンタたちのご推察通り、アタイたちは草滅会の人間よ!」
博士 「なんじゃと!?」
清里・笛吹 「えぇーっ!」
博士 「ほんとに、草滅会かの!まさに東御の言うたt」
原 「えぇ?なんだって?」
助手 「あ!ちょーっと博士!黙って!」ガシッ
博士 「ど、どうしたんじゃいきなり!?」
助手 ヒソヒソ…「どうしたもこうしたも、東御くんはスパイなんですよ!草滅会の人たちから得た情報を横流ししてくれてるわけですから、僕たちが東御くんとつながってることがバレたらまずいですよ!そういうわけで、そもそも名前を知ってるのもおかしいんですから、名前を出すのはまずいですよ!」ヒソヒソ…
博士 「おー、そうじゃそうじゃ、すまなんだな。」
清里 「もぉー、博士しっかり~」
笛吹 「集中!」
チャン 「ちょとー、アナタタチ、さきからなにコソコソしてるアルネ。」
原 「何企んでるのかわからないけど、ウチらをおいてけぼりにしないでよね…まったく!」
松本 「…でさっきの続きだけど!なんでアタイたちが草滅会だと分かったのよ?」
大月 「まぁ、大体予想はできてるんだけどね~。」
チャン 「そう!アナタタチ、草滅会の“ファン”アルネ!写真ならお断りヨ~!」
一同 「………。」
一同 「ズコーッ!!」
松本 「チャンさん、違う違う!」
原 「この前も話したでしょう。草滅会にたてつく憎たらしい組織…いや、組織ってほどでもない、ただの集団がいるって!」
大月 「それがこいつら、草研だっ!」
チャン 「アハー、そいえばそんな話もしてたアルネ。」
松本 「チャンさんったら~。なにもこんな時にボケなくても…。」
博士 「そうじゃ。オヌシの考えとる通り、ワシらは草研の人間じゃ。オヌシらほどの勢力もない弱小集団じゃが、そんな奴に邪魔をされてるとは、草滅会も大したこともないんじゃないかのう。」
助手 「おぉ、博士がなんだか頼もしい…。」
原 「フン。ウチらに口答えするとはいい度胸だねェ。…ま、いいわ。アンタの言う通り、アンタらを相手にする必要もないさね。…だけど、ウチらのことを見くびってたら痛い目に合う。そうとだけ言っておくよ。」
博士 「それはこっちのセリフじゃ!」
バチバチバチバチ……!!
笛吹 「おぉ、なんだか火花が見えるよレイレイ。」
清里 「なんだか強そうだねー笑」
チャン 「嘻嘻嘻www ジジイとババアの対決ネ~!なんだか怖いアルヨ~!」
博士 「ジジイとはなんじゃ!?」 原 「ババアだって?」
原 「チャンさん、デブ美と呼びなさい?」
助手 (デブ美~!?そっちの方がよっぽど失礼じゃぁ。。。)
チャン 「アハー、ゴメンナサイアル。」
博士 「フン。もぉええ。こちとらもう草ヒロを記録したし、とっととおいとまするわ!」
助手 「と、いうことですので、ボクたちはこれにて退散しまーす!」
松本 「あちょーっ、まてー!」
原 「マリ、いいんだよあんな奴ら。奴らはウチらを引き留める気はないみたいだし、手柄になるじゃない。」
松本 「マ、それもそうですね。」
チャン 「…にしても、草研にもマリやずきーぐらいのガキがいたとは驚いたアル。」
松本 「ねー、もしかして、おんなじ学校だったりしてねー?」
大月 「まっさか~笑」
松本 「あら?案外本当かもよ?」
大月 「なに?マリ、知ってるんならもったいぶらずに教えてよ~」
松本 「えー?」
原 「まぁまぁ、瑞季。もしそうだったとしても、あいつらとは知り合いじゃないんだから関係ないじゃないか。こちとら構わず撤去しちまえばいいんだよ。」
大月 「それもそうですね!それに、もし知り合いだったとしても容赦はしませんよ!」
松本 「さっすがずっきー!」
チャン 「っこれが、デブ美さんの言てた“オトコ”ってやつネ?」
原 「そうだよチャンさん。」
つづく(『草ヒロ“撤去”物語4』へ)
博士 「こっちには東御がおるんじゃ。あんなやつら、屁でもないわ。」
助手 「ですね!こうなったら東御くんに頑張ってもらいましょう!」
笛吹 「ねーねーレイレイ、あの女の人がたいくんのカノジョさんなのかな。」
清里 「そうだろうねー。」
笛吹 「あの人、やっぱりわたし知らないわ。」
清里 「いくら同じ学校でも、学年も部活も違うなら無理ないよ。」
笛吹 「でも、けっこー可愛いくて良さそうな先輩だったな!ちょっとお近づきになりたいかも!」
清里 「ねー!確かにあの人も可愛かったけど…でも、僕はスイちゃんの方がもっともーっと可愛いと思うなっ!」
笛吹 「ありがとー♥」
助手 「アハハ…清里くんたちって、いっつもこういうノリなのかな…。」
博士 「やれやれ、最近の若いモンは…。正直ワシはついていけん。」
助手 「あれ、博士って独身でしたっけ?」
博士 「うるさいうるさい!ヒトのプライベートに首を突っ込むでない!」
助手 「はいぃ!スミマセンっ!」
ガラガラガラ…
助手 「お待たせ東御くん!出発するよ!」
東御 「あっ、お疲れ様でーす。存分に楽しめましたか?草ヒロ。」
助手 「うん!まあ楽しめたけど…」
東御 「けど…?」
博士 「それがのう。オヌシが懸念した通り、草滅会の連中が戻ってきよったのじゃ!」
東御 「マジっすか!いや俺戻っといてよかった~www」
笛吹 「それー。」
博士 「しかし…奴らはいっぺんこの草ヒロを記録したはずじゃのに、なにゆえここに戻ってきたのかのう…」
清里 「そう言えばたしかに。」
博士 「奴らにしても、なるだけ草ヒロの近くにいる姿は見られとうないはずじゃ。だのに、ノコノコ戻ってきおってワシらと遭遇してしもうたんじゃ。」
助手 「一体どういうことなんでしょうねぇ。ねぇ東御くん。」
東御 「そうですよね~。確かに不思議ですね。」
助手 「それに東御くん、なんで草滅会の人間がくるって分かったの?偶然?」
東御 「えっ?あ、それは野生のカンってやつで…いや、そう、マリからまた戻ってくるって聞いたから…」
助手 「あー、なるほどね。やっぱり向こうと情報が通じてるといろいろと助かるねぇ。」
笛吹 「今回の探索はたいくんのおかげで、色々とはかどりそう!」
清里 「まったく大気様様だよね!笑」
東御 「へへっ、それほどでもーあるぜ!」
博士 「ほんっとにオヌシは調子がええのう。まるで草田のヤツを見とるようじゃ。」
助手 「確かに前から思ってましたけどキャラとか草田クンっぽいですよね。見た目は全然違いますけど。」
東御 「へぇーっ、そんなに似てるんすか。草田さん、昨日会ったときはすぐタクシーで帰っちゃうんで、全然絡めなかったっすよ。」
博士 「まあ、次回の探索のときに話せばよかろう。」
東御 「ですね!」
つづく
「この物語と、この物語に登場する団体や登場人物は、全部ひっくるめてフィクションじゃぞ。実在するものとは、一切関係ないからの。」
「突然入ってきた新入りの東御くん、すごい活躍ぶりですね!」
「そうじゃな。色々とうまくいきすぎて怖いくらいじゃ。」
「いきなり出てきて、カノジョが草滅会に入会しただの、スパイになるだの…荒唐無稽なことを言うんで、最初はちょっと疑ってたんですけど、今回草滅会の人と遭遇して、東御くんと同い年ぐらいの女の子が本当にいたことが分かったんで、少しは安心しましたよ。」
「まあ、本当にあの女が東御の彼女かどうか確証はないんじゃが…まあ奴は信頼して、いいんじゃないかのう。」
「ですよね。…とはいえ、やっぱりこんな卑怯な手を使っていいのかどうかと、ある種の罪悪感にも駆られる気がしますが。。。」
「そう思うんなら、ただの会員として接して、諜報活動は任せなくていいんじゃ。」
「そうですよね。…まあとりあえず、今回はスパイとして頑張ってもらいましょうか。」
「うむ。向こうもどんな手をつこうてくるか分からんしの。」