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草ヒロ物語4(8)& 草ヒロ“撤去”物語4(8) 後編

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『草ヒロ物語』について知りたい方はコチラ

『草ヒロ“撤去”物語』について知りたい方はコチラ
『草ヒロ物語4』『草ヒロ“撤去”物語4』の登場人物について知りたい方はコチラ

前回のおはなし(前編)

 

助手 「あれ…そういえば東御くんはどこへ?」
清里 「あっ?さっきまでいたのに。」
大月 「あーあ、ついに見つけちゃったな~。」
チャン 「ホホー、やっぱりここだったアルネー?」
松本 「フフフ…。お約束通り、ちゃーんと見つけてあげたわよ!」
原 「とっとと諦めるんだね…まったく!」
清里 「うわっ!?」
笛吹 「うええーっ!?」
助手 「そそ、そんなバカな!」
博士 「もう来おったか!オヌシらめ!」

 

松本 「見てしまった以上、この草ヒロは貰ってくかんねー。」

大月 「…って、これよく見たらコニーじゃん!?まさかこんなすげぇ草ヒロが長野にあるなんて…!」

原 「へェ、これそんなに珍しいの。」

大月 「そうなんです!汚らしいけど、なんとかしてレストアできないかなぁ?」

チャン 「そな珍しアルか!?ボス報告アルー!大手柄アルヨー!」

大月 「よしじゃあチャンさん、俺が報告しとくよ!」

チャン 「谢谢ずきー!」

松本 「よろしくずっきー!」

博士 「ぐっ…なぜじゃ…。何故オヌシらはワシらの場所が分かったのじゃ…?」

原 「アラ?ウチらがズルしたとでもいうのかぃ…?まったく…!」

松本 「アタイらは、アンタたちの行く先なんて見てないからねー。」

チャン 「チャンさんたち草ヒロオーラ感知しただけアル!」

助手 (うーん…おかしい…。何かが変だな…。)

清里 「…確かに、僕たちたまに後ろを見たりしたけど、草滅会の人たちなんか一度も見てないもんねスイちゃん?」

笛吹 「それー。…ってことは、なんか“はっしんき”的なもんでも付けられたんじゃ…。」

大月 「アハハッ!想像力豊かだね、君たち!」

チャン 「そんなもんつけてないアル!卑怯な手使わないアルヨ!」

原 「まったく…!埒が明かないようだし、ウチらはこれで退散するかねェ。」

松本 「記録終わったよー。」

大月 「サンキューマリ。俺もボスへの報告も完了したよ!」

原 「よくやったわ瑞季。…じゃあ、アンタたちは好きにこの草ヒロでも見てれば?」

松本 「ばっははーい!」

大月 「バイハ~イ!」

チャン 「再见ー!」

 

 

 

No.038
愛知機械工業 コニー 360ワイドバン

ジャマレベル:★☆☆☆☆(果樹園の農道の脇だから、邪魔になっているとはとても言えないねぇ。)
景観悪レベル:★★★★☆(ボディはボロボロで枯れ草も絡まってる。それにガラスは割られて置かれている場所も目立つとこったらありゃしない…!こんな汚らしい物を目立つ場所に放置しておくなんて考えられないわ…まったく…!)
貴重レベル:★★★★★(瑞季によるとこの車は、今は既に車の開発をやめている会社の産物だそうじゃないか。かなり珍しいみたいだねぇ。)
総合評価:価値もあるし、景観も乱すし、これは撤去するほかないさね。

 

つづく(『草ヒロ“撤去”物語4』へ)

 

 

清里 「い、いっちゃった…。」

博士 「嫌にアッサリと退きおったな…。」

清里 「なんでしょうね?いつもならもう少し粘るのに…。」

笛吹 「うぅ…この草ヒロは…撤去されるってことなのね…。」

清里 「……。」

助手 「かなりいい感じの草ヒロなのに。車種もなんだか珍しい雰囲気だしねぇ。…博士、このクルマって確か、草ヒロ界隈では有名なコニーってやつじゃないですか?」

博士 「うむ。そうじゃろうな。ワシはクルマにはそれほど詳しくないが、コニーについては草ヒロ研究のよしみでそれなりに知っておる。それに、ワシが鼻垂れ小僧じゃった頃も、たまぁに街で見かけた記憶もあるしの。」

助手 「へぇーっ、そうなんですかー。マイナーで影の薄いメーカーってイメージですけど、意外と当時は売れていたのでしょうかね。」

清里 「……今はもうないメーカーのクルマなんですか?」

博士 「否、そういうわけではなく、今も会社はあるんじゃが、自動車の開発や販売、完成車の製造をやめてしまったのじゃよ。今は自動車のパーツを作っとるのじゃ。」

清里 「おおー、今はクルマを作っていないメーカーのクルマがあるなんて…それって何だかワクワクしますね!こういうのっていいですね…!」

笛吹 「レイレイ…!」

助手 「清里くんも結構マニアックだねぇ笑」

清里 「デザインも可愛いですし、コニー、ちょっと気になっちゃいました~。」

博士 「ホッホッホ。噂によると、山梨や長野にはコニーが多いそうじゃから、オヌシはそこを専門に研究するのもいいんじゃないか。」

清里 「はいッ!」

助手 「でも、撤去されちゃうんだよね…。」

清里 「…あのぉ…草川さん?ちょっとお話したいことが。。。」

助手 「ん?清里くんなあに?」

清里 「ちょっとコチラへ…。」スタスタスタ…

博士 「コニーのことかのぉ。勉強熱心なのはいいもんじゃが、コニーに関してはワシの方が詳しいんじゃがな。」

笛吹 「博士ったら相変わらずですねー笑」

博士 「なんじゃと~!?」

 

助手 「ええっ!?東御くんがスパイ!?……いや、確かにそういうつもりだったんだけど、それってボクたちのスパイじゃなくて、実は草滅会がよこしたスパイだったってこと…!?」

清里 「ええ。どうやらそうらしくて。ゆう…あっ、飯田からさっきLINEが来たんですけど。」

助手 「へぇ。飯田くんね。…なぜ彼がそれを知ってるのか気になるけど、飯田くんのことだから信憑性は高いかも知れない。なんなら、そう考えると全ての辻褄が合う気がするな。」

清里 「今まで起こってきた不思議な、不自然な出来事の数々ですよね。」

助手 「そう!ボクも仄かな違和感は感じていたんだけど、、その正体は分からなくて、今回ので流石に分かったって感じ。まさか二重スパイだったとはねぇ。」

清里 「二重スパイ…?」

助手 「だから、まさにこの状況!…つまり、東御くんは僕たち草研のスパイとして活動して、草滅会の情報を盗むっていう役割だったけど、それが実は草滅会から指示されていたスパイ活動の内容で、スパイを装う草滅会のスパイだったってことだよ。ボクたちが今回の探索で発見した草ヒロの情報は全て草滅会が握ってしまったんだ…!」

清里 「わー、どうしましょ~…。」

助手 「博士や笛吹さんに知らせると、東御くんに対して全員がよそよそしくなっちゃうだろうし、ここはボクと清里くんだけの秘密にしよう。」

清里 「それが良さそうですね…。」

助手 「対応については…」

清里 「あっ、それなら、『俺と小布施が何とかするからちょっと待ってくれ。』って、飯田が言ってましたよ。」

助手 「小布施くんか!それなら大丈夫そうだね笑」

清里 「ですよね~アハハ」

 

東御 「おい綾、何話してんだあの二人?」

笛吹 「あっ、たいくん。…あれじゃない?さっき、コニーについて興味があるみたいだったから、助手さんから話聞いてんじゃないの?」

東御 「ふーん。。。」(…もしや勘付かれたか…?バレるのも作戦の内だとはボスも言ってたが…一応マリに報告しとくか…。)

 

 

つづく(『草ヒロ物語4』へ)




…その後、この草ヒロは撤去されてしまったそうな。

“その後の様子”

ご覧の通り、景観を乱す害悪な草ヒロは無事に撤去され、新たに物を置けるスペースとして生まれ変わりました。

やはり草ヒロなどという無駄なものは排除して、大事な土地を有効利用したいものですね。

 

 

 

 

「この物語と、この物語に登場する団体・人物は全てフィクションだ。実在するものとは一切関係無い。」
「まさかコニーを見つけてくるとは…!これはお手柄ですよね、ボス!」
「そうだな。これには私も驚いたよ。撤去すれば草ヒロ好きへの嫌がらせにもなるし、景観も美しさを取り戻す…環境もよくなる…あわよくば、コレクションスペースに移動させてレストアすることもできるかも知れん。一石二鳥どころではないな。」
「まったく仰る通りです!…しかしボス、新入りたちには草研の後追いではなく、自力で発見してもらいたかったところですよね。」
「…まあまあ。スパイを送るように指示したのはこの私だし、私は一向にかまわん。…まあ、できれば、卑怯な手を使いたくはなかったのだが、こうも草研の後塵を拝しつづけるのも、草滅会の沽券に関わる。これは最終手段のようなものだ。また、それはそうとして、万一スパイの存在が発覚したとしても、それがキッカケで草研の連中の関係はギスギスするだろうし、草研の勢力も衰えるだろう。」

「なるほど…これも一石二鳥的発想だったというわけですね!」

「そうだ。」

「さっすがは我らがボスでございます!俺が思いつかないようなことも軽々とやってのける…!」


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