10月に入りました!
今年も早いものであと3ヶ月でおしまいですね!
僕の家の周辺や大学の周辺でも、金木犀の香りが漂ってきており、秋の訪れを感じます。
また、秋の日はつるべ落としという諺があるように、ついこの間までは18時を過ぎてもまだ明るかったのですが、ここ最近急に日が沈むのが早くなってきたことからも、秋がやってきたなァって思います笑
それに合わせて、気温の方も徐々に過ごしやすい涼しさに変化。
僕は暑い夏よりも寒い冬の方が好きなので、ようやく快適な日々が送れると思うとウキウキしてきますね!
夏が終わってしまうのも寂しいような気はしますが…。
オープニングトークはさておいて、今回は有機化学反応について語っていきます!
前回は、置換反応・付加反応・脱離反応などといった有機化学における主要な反応のうち、置換反応についてクローズアップした。
置換反応は更に細かく分類すると、求核置換反応と求電子置換反応に分けられる。
前回取り上げたのは、その求核置換反応と呼ばれる化学反応だ。
求核置換反応の中でも、SN1反応/SN2反応/SNi反応の3種に分けられるのだが、今回扱っていくのはその3種の反応のうちの一つである、SN1反応だ。
No.002 SN1反応
★概要★
求核置換反応の一種。
炭素骨格と脱離基からなる基質が求核試薬によって攻撃され、脱離基と求核試薬が置き換わるという求核置換反応において、SN1反応では基質と脱離基間の結合の開裂と、基質と求核試薬間の結合の形成が同時には起こらず段階を踏んで生じる。
よって、それぞれの段階では単分子が反応に関与するのみであるため、単分子(1 molecule)求核(Nucleophilic)置換(Substitution)反応の頭文字を取ってSN1反応という名前が付けられたのである。
求核置換反応においては、次回紹介するSN2反応がほとんどであるが、場合によってはこの反応も起こるようだ。
★反応機構★
最初に基質の炭素骨格と脱離基間の結合が開裂。その後、脱離基が無くなったことによってカルボカチオンへと変化した基質に求核試薬が攻撃し、基質の炭素骨格と求核試薬との間に結合が形成される。
概要でも説明した通り、この反応では、脱離基がまず脱離し、一呼吸おいてから求核試薬と結合を形成するということが起こっている。
SN1反応が起きるときは、結合が開裂する反応がゆっくり進む律速段階になっている場合。
結合の開裂が遅く進まないときは開裂と結合形成が同時に起こるため、その場合に起こる反応がSN2反応というわけだ。
★反応の特性★
これは有機化学反応全般に言えることだが、反応の進みやすさには様々な要因が関わっている。
基質の性能、試薬の性能、溶媒との相性、脱離が生じる反応のときは脱離基の性能…といったものがあり、SN1反応においても例外ではない。
[基質]
中間体として生じるカルボカチオンが安定になればなるほど基質としての性能が良いと言える。
カルボカチオンが安定になる順序としては、以下に示す通り。
第三級 > 第二級 ≒ ベンジル型 ≒ アリル型 > 第一級 > メチル
よって、SN1反応において最も優れた基質は第三級のカルボカチオンを生じるハロゲン化アルキルであり、次いで第二級カルボカチオンを生じるカルボカチオンといった具合である。
[脱離基]
脱離基が脱離する際は負電荷を帯びているため、その負電荷を帯びた状態が安定になるような、すなわち電子を安定に保持することが出来るような脱離基が性能の良い脱離基と言える。
電子が安定に保持されるには弱塩基性である方がよいため、脱離した後に弱塩基となる基(=強酸の共役塩基)が優れている。
TsO- > I- > Br- > Cl- > F- > OH-, NH2-, OR-
代表的なアニオンの塩基性の弱さはこの順になっているため、トシラートイオンが非常に優れた脱離基、ヒドロキシドイオンやアミドイオン、アルコキシドが劣った脱離基ということになる。
[求核試薬]
求核試薬については、塩基性でなければ反応速度に大きな影響は与えないため、基本的に何でもよい。
…が、酸性よりも中性の方がどちらかと言えばよい。
[溶媒]
SN1反応は中間体としてカルボカチオンを生じ、基質から脱離してきたアニオンも生じる反応であるため、溶媒和を起こしやすい極性溶媒の方が優れている。
もっと言うと、水やアルコールといったプロトン性極性溶媒であればなおのこと良し。
★関連語句★
求核置換反応、求電子置換反応、脱離反応、SN2反応、SNi反応、Walden転位
★専門用語★(記載順)
[書いている時間が無くなったのでとりあえず列挙するだけにしておきます!いずれ追記します!!]
律速段階:
中間体:
第三級:
第二級:
アリル型:
第一級:
メチル:
ハロゲン化アルキル:
弱塩基性:
強酸:
共役塩基:
トシラートイオン:
ヒドロキシドイオン:
アミドイオン:
アルコキシド:
溶媒:
溶媒和:
極性溶媒:
プロトン性:
★参考文献★
1) 日本薬学会 編、知っておきたい有機反応100 第2版、東京化学同人、2019、pp.26,27
2) John McMurry 著, 伊東椒, 児玉三明 他 3名 訳、マクマリー有機化学(上) 第9版、東京化学同人、2017、pp.360-372