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牛フタコレクション(10)& お知らせ

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No.010

木村パスチャライズ牛乳

分類:牛乳 会社名:木村ミルクプラント(株)

乳脂肪分:3.6%以上  無脂乳固形分:8.5%以上

保有枚数:1枚

関連商品:木村パスチャライズカフェ・オ・レ木村パスチャライズフルーツ・オ・レ

 

本日紹介するのは、福島県いわき市の木村ミルクプラントの製品です。

近所のスーパーマーケットで開かれていた東北地方の物産展か何かで購入したものだったかと思います。

 

消費期限が西暦と月まで表示するタイプのものなので、いつ購入したかをスッカリ忘れてしまっても、ありがたいことに2007年4月末頃に購入したものだと分かります。2007年というと、まだ小学3年生のガキんちょでしたな笑

何度か書きましたが、年月まで表記されるタイプの牛フタは、思い出にとっておくにはピッタリですね!

 

そしてこの牛フタ、牛フタの王道から外れるちょっと特殊なデザインなのが注目ポイント“その1”です。

消費期限を年月日で表示するため、中央の期限表示の枠が大きくとられており、商品名や分類、牛乳の情報や会社情報が周囲2行分に所狭しと書かれています。

また、現代の牛乳・加工乳・乳飲料のフタには必ず表記されている『公正マーク』をどこに配置するか、というのが牛フタのデザイン上のポイントになってくるのですが、このフタは堂々と中央下に構えており、左右対称なデザインとなるように計算されています。

その代わり、中央下に描かれることが多い乳製品の分類(牛乳 or 加工乳 or 乳飲料 etc...)は、商品名の横っちょに追いやられており、それがまた特殊さを際立てておりますね。

 

 

…では、注目ポイント“その2”は何なのかということですが、それは商品名をご覧いただければお分かりいただけるでしょう。

『木村パスチャライズ牛乳』“パスチャライズ”です。

この単語を初めて聞いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

パスチャライズというのは、牛乳の殺菌方法の一つであるパスチャライゼーションの動詞形。パスチャライゼーションというのは、言ってしまえば『低温殺菌』のこと。低温殺菌牛乳ならご存知の方も多いかと思います。

 

よくある一般的な牛乳は、超高温加熱処理法(UHT法)と呼ばれる、120~150℃という高温でわずか1~5秒間殺菌処理をする手法が用いられています。そうすることで、牛乳をより長持ちさせることができ、短い殺菌時間のおかげで生産効率を上げることができるのです。

しかし、UHT法はいいことずくめではなく、欠点もあります。

それは、あまりに高温な殺菌温度のために、人間にとって害のある細菌を破壊するだけにとどまらず、害のないタンパク質の変性まで引き起こしてしまい、牛乳ならではのコクや風味が損なわれてしまうことです。

 

…というわけで、細菌を害のない程度にまで減らし、タンパク質の変性も起こりにくくする温度と時間で殺菌をおこなうのが、パスチャライゼーションと呼ばれる殺菌法なのです。

パスチャライゼーションは更に二種類分けられます。

一つ目は、低温保持殺菌法(LTLT法)と呼ばれる、63~65℃30分間という長い時間をかけて殺菌する手法。もう一つは、高温短時間殺菌法(HTST法)と呼ばれる、72~85℃15~20秒かけて殺菌する手法です。

 

やはり、最も殺菌温度が低いLTLT法が最も変性が起こりにくく、最も生乳本来の風味を残すことができるのですが、この低い殺菌温度のために生き残ってしまう細菌も多く、それ故に消費期限は最も短くりますし、そして殺菌時間が長いために生産コストも上がります。

HTST法は、ある意味LTLT法とUHT法とのハイブリッド、いいとこ取りといった殺菌方法でしょうか。変性を程よく抑えて本来の風味をある程度残し、殺菌時間は長すぎることなく、生産コストも比較的抑えることができるのです。それに、LTLT法で殺菌した牛乳よりも日持ちします。

この『木村パスチャライズ牛乳』は、85℃で15秒間殺菌とフタに書かれているため、HTST法で殺菌処理をおこなっているようですね。

 

 

話は牛乳から逸れてしまいますが、パスチャライゼーションという不思議な響きの名前、由来が気になりませんか?

僕は知らなかったので、記事を作成するにあたって調べてみましたが、なんと、あの細菌学の父ルイ・パスツールにちなんだ名前だというのです!

彼は、クロード・ベルナールという生理学者(失礼ながら存じ上げない方でした…)と共に実験をおこない、ワインが酸化して味が悪くなることを防ぐために、酸化の原因である細菌を破壊することができる加熱殺菌法を発明したらしいのです。それが、発明したルイ・パスツールの名にちなんでパスチャライゼーションと呼ばれるようになったとのこと。

パスチャライゼーションのいいところは、ただ高い温度にワインを晒して殺菌をするというだけなく、加熱する温度をエタノールの沸点(標準状態で78.4℃)よりも低い温度に設定することで、ワインに含まれるアルコール分を飛ばすことなく、風味を損なわずに殺菌をおこなうことができるという点にあります。

 

パスツールさんは、僕が日頃の実験でお世話になっている“パスツールピペット”という実験器具の由来にもなっている方なので親近感を覚えているのですが、まさかパスチャライズ牛乳のパスチャライズが、パスツールピペットと、そしてパスツールさんと繋がっていたとは思ってもみませんでした笑

 

 

 

 

お知らせ

 

年末から年明けにかけて研究やバイトに時間を割きたいので、私事で申し訳ございませんが、明日からしばらくの間ブログの更新をお休みさせていただきます。

クリスマスや大晦日、元日といったイベントのある日は、せっかくなのでそれに関連した記事を書こうと思っていますが、通常更新は来年1月中旬頃までお預けです。

どうぞよろしくお願いいたします!!m(_ _)m


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