今回は、2000年代のトヨタのコンパクトカー3台を紹介します。
2000年代ということはもちろん、オレ基準の“ネオクラ”の範疇には入りません。・・・かと言って激レア車かというと、そうでもありません。
そうでなくても個人的にそそられるクルマを見つけたので、個人的趣味で紹介します(爆)。
トヨタ ヴィッツ1.0F(SCP10)
1999~2001年式
神奈川県にて
言わずと知れた21世紀を代表するトヨタのコンパクトカー・ヴィッツ。
今ではアクアに喰われ気味ですが、アクアが登場するまで、トヨタのコンパクトカーと言えばコレでした。
今までは“安いから”とか“維持しやすいから”といった消極的・妥協的な理由で選ばれることの多かったハッチバックのコンパクトカーですが、スターレットの後継として登場したヴィッツは、デザインで選ばれるコンパクトカーとして開発されたのです。
新時代のクルマを予感させる凝縮感のあるタマゴのような丸っこいボディ、特徴的な形のライトやホイール、先進性あふれるセンターメーターなど・・・今までのリッターカーの常識を打ち破るデザインは話題を呼びました。
このクルマの存在がコンパクトカーのあり方を変えたと言っても過言ではないでしょう。RR車のようなヒップが強調された前衛的なデザインのK12マーチや、センタータンクレイアウトによって驚異の室内空間を生み出した初代フィットのように、革新的なコンパクトカーが次々と世に出てきたのも、このヴィッツあってこそのもの。
欧州ではヤリスという名で発売され、コンパクトハッチが人気な欧州にも受け入れられ、海外展開も成功を収めたといいます。
ヴィッツ(Vitz)というのは英語の“Vivid”とドイツ語の“Witz”との造語であり、機知に溢れる快活なクルマというイメージで名付けられましたが、海外で発売されるにあたり、“ヴィッツ”というのがお下品なとある英語スラングに近い発音になってしまうということで、欧州ではギリシャ神話に出てくる神様の“Charis”とドイツ語で肯定を表す“Ya”との造語でYaris(ヤリス)と名付けられたらしいのです。
「それだったら、日本でもヤリスという名前にして世界統一すればいいじゃないか」という意見もありそうですが、日本で“ヤリス”というと、英語圏における“ヴィッツ”と同じく、これまたお下品な俗語が連想されてしまうということで、結局ヴィッツのまま押し通すことになったとか。
かなり長くなりましたが、ヴィッツの説明はこれくらいにして、なんでこんな古くも珍しくもないクルマを撮ったのかというと、自分の好みにドンピシャリだったからです。
初代ヴィッツのデザイン自体割と好きだったわけですが、特に好きなのはよりシンプルな前期型のデザインであり、ヴィッツのボディラインがより際立つ3ドアが好きで、前期低グレードのこの複雑怪奇(誉め言葉)なデザインのホイールキャップ、着飾らない廉価グレード、そしてこのヴィッツと言えばコレ!的な淡いピンク色。
この5つの要素が組み合わさったヴィッツが、僕の好きなヴィッツだったから撮影したのです。これでMTだったりしたらもう最高(笑)。中古で売ってたら買ってもいいレベルに好きです。
初代ヴィッツは確かに今でもたまに見ますが、大体が後期の5ドアなので、この個体のような前期3ドアのヴィッツは珍しいと言っても過言ではないのでしょうか。
トヨタ ヴィッツクラヴィア5ドア(SCP10)
1999~2002年式
神奈川県にて
初代ヴィッツの派生車種です。
サンバークラシックが発端のレトロ風カーブームにより、各社がこぞって自社製品をレトロ風に発売したモデルが乱発しましたが、どれもこれも上っ面を変えただけの酷い出来。ヒットしたクルマは何種類かあるものの、個人的には疑問が残ります。
で、これはスターレットの時代からあったカラットという名のレトロ仕様車の後継。
レトロカーブームなんぞとっくのとうに終わっていましたが、無いよりマシでしょ的な軽い感じで投入されたものと思われます。実際、2代目に移行する際には廃止されてしまいましたしね。
トヨタ ist(NCP61)
2005~07年式
神奈川県にて
初代ヴィッツは思いもよらぬ大ヒットをしたので、これに気を良くしたトヨタは、お得意の“兄弟車戦法”でどんどん売ろうと目論見ます。
初代ヴィッツをベースにした派生車種は数多く、セダンにしたプラッツ、欧州メーカーのバン風に仕立て上げたファンカーゴ、若者に受けるようにとにかく四角いデザインにしたbB(初代)、ターゲットを女性向けに振り切らせた、カボチャの馬車がモチーフのWill Vi、クルマの新しい在り方を提示したポルテ(初代)・・・などなど。
この初代istもヴィッツファミリーの一人(?)。istはヴィッツよりもワンランク上の上質なコンパクトカーを目指して作られました。実際、ヴィッツをベースとしながらもヴィッツよりもふくよかなボディにすることで車格を大きく見せることが出来、ドアが閉まる音もヴィッツに比べると重厚な音がしたといいます。
後発のフィットに後塵を拝していたヴィッツですが、istの投入により形勢は逆転。販売台数トップ3入りを果たしました。
・・・ということで、初代は現在でもたまに見ますが、それは初代ヴィッツとは逆で前期型の話。2年間しか製造されていない後期型を見かけることは少ないのです。
そしてこれはお察しの通り、少し珍しい後期型。ネッツのマークが一番分かり易い前期型との相違点です。