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草ヒロ物語2(5)& 草ヒロ“撤去”物語2(5) 後編

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前編

前回の話(草ヒロ物語2)

「草ヒロ物語2」を知らない人はコチラへ。

キャラクターの顔が見たい人はコチラ

 

博士 「よーし、この調子でドンドン草ヒロを見つけるぞい!」

助手 「博士~、さっきの2台ですっかり調子づきましたね。」

博士 「そりゃそうじゃろう!まさか梅林地帯に突入して数分であんな草ヒロを見つけるなぞ、夢にも思わんかったからのう。」

見習い 「この調子で、どんどん見つけましょーか!」

博士 「そうじゃな。・・・ちゅーわけで、そこの狭い道をイッチョ行ってみるか!」

見習い 「え~?ここですかぁ~?なんか凄く狭いんですけど・・・。」

助手 「大丈夫だよ草田くん!だってこれ軽でしょ?これくらいの道、通れなくてどうすんのさ?」

見習い 「オレ未だ免許取ってから2年しかたってない初心者ですもん。」

助手 「2年経ったら初心者じゃないでしょ~。」

見習い 「法的には初心者じゃなくても、僕の心の中では初心者です!」

博士 「・・・おい!つべこべ言わずにさっさと行くのじゃ!なんかこの先に草ヒロが居そうな気がするのじゃ。」

助手 「えっ、ホントですか!?」

見習い 「・・・ったく、一体何を根拠に・・・」

博士 「草ヒロっちゅうのはの、解体屋や草滅会、果てはオーナー自身や自然現象まで、様々な危険にさらされながら今を生きているものなのじゃ。じゃから、見つかりやすい広い道なんかにいる草ヒロは、撤去されやすいんじゃよ。」

助手 「そうそう。さっきの草ヒロが残っていたのは、単に運が良かっただけで、もっと昔はあの道路沿いに沢山草ヒロがいたかも知れないんだ。」

博士 「うむ。じゃから解体屋や草滅会が入りにくい狭い道は、まだ草ヒロが残っとるのではなかろうかと踏んだわけじゃ。」

見習い 「そうですかー。分かりましたよっ・・・!」

博士 「さあ、分かったんならとっとと進むのじゃ。」

見習い 「はーい・・・。」

 

見習い 「・・・あれ?」

助手 「どうしたの?」

見習い 「いや・・・なんかそこに駐車してるクルマ、少し邪魔だと思って。」

助手 「いや~、行けるでしょ~。一応空地に寄せてるみたいだし・・・。」

見習い 「な~んか怪しくないすか?こんな所に路駐するなんて・・・。」

助手 「そうかなぁ・・・?」

博士 「なんじゃなんじゃ?・・・ほーん・・・プリウスか・・・。」

助手&見習い 「・・・。」

博士 「・・・っておい、まさか・・・!」

見習い 「どうしたんすか博士・・・?」

博士 「ちょっとばかし・・・いや~な予感がするんじゃ。取り敢えず、このプリウスの後ろにクルマを止めてくれ・・・。」

見習い 「は、はい了解です・・・!」

 
キキーッ!

 

助手 「博士ったら一体どうし・・・って、あれは・・・く、草ヒロだっ・・・!」

見習い 「・・・で、その草ヒロの周りに人が数人・・・スーツ着てて・・・えっ?」

博士 「草滅会じゃよ!」

見習い 「や、やっぱりぃ~!?」

助手 「まさか・・・!」

 

パタン!

 

博士 「・・・オヌシら・・・!ちょっと待つのじゃ・・・!」

 

秘書 「あの・・・唐突に何なんですか貴方達は!」

ボス 「ん?・・・ああ、博司か・・・。これは奇遇だな・・・!まさかまた会ってしまうとは・・・。」

秘書 「お知り合い、でしたか・・・。これは失礼しました・・・!」

ボス 「こいつらが、例の草研の連中だよ。」

秘書 「・・・っ!」

助手 「一体、ここで何してるんですか!」

上田 「出たわね草研・・・!今更いちいち言わなくても、何をしてるか分かりますでしょう!」

山中 「今更来ても遅いからな!」

博士 「・・・おい。遅いとは一体、どういうことじゃ・・・!?」

見習い 「ま、まさか・・・」

ボス 「フフフ・・・そのまさかだ。この草ヒロたちを撤去しようと思う。・・・早ければ今日中・・・遅くても今週中にだ・・・!」

助手 「そ、そんなな身勝手こと・・・や、やめてくださいよっ・・・!」

上田 「嫌です。」

助手 「ぬぅ・・・!」

見習い 「見逃してくださいよ~!・・・一体、何のためにこんなこと・・・。」

ボス 「ハッ、分かってねぇなァ若いの・・・。草ヒロを心から嫌っている我々が、この草ヒロ達を目の前にして見逃すと思うか?・・・それにもう、写真として記録したし、草滅会に情報を共有もした。」

上田 「・・・つまり、必ず撤去するってことです!」

山中 「そりゃあこんなもん見つけたら、撤去すんに決まってんだろ~。悔しけりゃなんか反論して見ろや~?あぁ~?」

見習い 「ぐっ・・・!」

博士 「卑劣な・・・!」

ボス 「ククク・・・まあ、なんとでも言うが良い。結局のところ、もし写真に記録したり情報共有したりする前にお前らに見つかったとしても、撤去はすることに変わりはないんだけどな・・・!」

秘書 「以前のような失態は犯しませんからね、ボスは・・・!」

ボス 「そうだな・・・。あの時の私はちょっと甘すぎた。あんな愚にもつかぬ説得で、本来は撤去すべき草ヒロ1台をみすみす逃したのだから・・・。」

山中 「少しはボスの優しさに感謝しろよォ~?」

博士 「ぐ、愚にもつかぬ説得とはなんじゃ!?・・・あれは、ワシとオヌシとの嘗ての仲を想って、ワシが妥協したんじゃぞ!」

ボス 「知らないなそんなことは。お前が勝手に勘違いしたんだろう。」

博士 「なにぃ~?」

秘書 「とにかく、今回ばかりはボスも本気で撤去する所存です。貴方達こそ今すぐここからお引き取りなさい。」

上田 「そうですよ!今度はどんな説得にも応じませんからね!」

ボス 「うむ。我々は先を急ぎたいしな。貴様らに付き合っている時間はないのだ。」

見習い 「ひどい・・・!」

助手 「一体・・・草ヒロに何の恨みがあって・・・。ほほ、本当に・・・ひ、酷いです・・・!」

ボス 「ククク・・貴様らはさっきから酷いだの卑劣だの・・・その程度の言葉しか浴びせられんのか。何か他に言うことはないのだろうか・・・。少しは何か私の琴線に触れることを言ってくるかと思ったが・・・期待した私が悪かったようだな・・・!・・・なあ?博司よ。・・・ククク・・キキキ・・。」

博士 「うるさいうるさい!!この裏切り者め・・・!・・・ワシらはワシらで、この草ヒロの写真を撮らせてもらうぞ!」

ボス 「あぁ、全然構わんぞ。」

山中 「どーぞどーぞご勝手に!」

上田 「だってどうせあたしたち撤去しますもんね!」

ボス 「そういうことだ。もう見つけてしまって、それに奴らがロクな説得も出来ないんだから、撤去する以外になんにもないわな。」

秘書 「いくら写真を撮ったところで、結局撤去されるものはされますから・・・」

ボス 「所詮は、無駄な悪足掻きというわけだ。さあ、我々は行くぞ・・・!」

手下達 「ハイ、ボス!」

博士 「ちょ、オヌシら・・・!待てと言ったら待つのじゃ・・・!」

山中 「ぃやなこった!」

助手 「あ、ちちょっとコラーッ!」

 
パタン!
ヒィェー・・・フゥォーン・・・!!

 

見習い 「・・・もう!ホントにアイツら人間のクズですよ・・・!」(・・・でも、あの子は相変わらず可愛かったな・・・)

助手 「一体、どういう頭の構造をしているのか・・・」

博士 「まぁまぁ、毒づくのは後でええから、とにかく早く写真を撮って奴らを追うのじゃ!一台でも撤去される台数を減らしたい・・・!無言でさっさと写真を撮って、ワシらも行くぞ!」

助手 「草ヒロの評価も、後ってことですか・・・!」

博士 「そうじゃそうじゃ!そんなものは、研究所に戻ってからゆっくりやればよかろう・・・!そうこうしているうちに、奴らが遠くへ行ってしまう・・・!そして、また別の草ヒロを見つけてしまうかも知れん!」

助手 「ヤバいですねぇ・・・そうなったら・・・。」

博士 「じゃから、早くせねば!」

見習い 「・・・所長、撮り終わりましたよ!」

博士 「おし、よぉやった!・・・さて、ワシらも行くぞ!草田、奴のプリウスを追え!」

 
パタン!パタン!

 

見習い 「りょーかいです!」

助手 「未だそんなに遠くに言ってないと思うし、多分追い付けるよ!」

見習い 「さあ、シッカリつかまってください!ちょっと飛ばしますよ~!」

 

ヴフォァァーン・・・!

 

博士 「たとえ急いでも、あくまで安全運転を心掛けるのじゃ・・・!」

 

 

 

 

No.013

三菱 デリカバンハイルーフ

1983~86年式

用途:物置 場所:空地

博士メモ:何だかやけにボディが長く見えるが、ロング仕様なるものがあったのかのう?草田の奴に聞いてみるか。

 

No.014

スバル サンバーハイルーフ

1982~87年式

用途:物置 場所:空地

博士メモ:トラックのハイルーフはあまり見た記憶がない。きっと珍しいモデルだろうに、まさか草滅会に撤去されることになってしまうとは・・・!なんたる無念、無念・・・!

 

 

・・・その後、このデリカとサンバーは撤去されてしまったそうな。  
 
“その後の様子”(ストリートビューではありません)
ご覧の通り、デリカとサンバーは撤去され、かなり景観がスッキリしました。
周囲に散乱していたゴミまで撤去するという、景観を保持するという信念を持っている草滅会の育ちの良さがキラリ光ります。
 
つづく(草ヒロ物語2へ)
つづく(草ヒロ“撤去”物語2へ)
 
「このデリカとサンバーが撤去されたというのは事実じゃ。だがしかし、この物語、そしてこの物語に登場する団体・登場人物はワシを含めてフィクションじゃぞ。実在するものとは、一切関係無いからの。」
「しかし、折角ツイてると思ったのに、まさか草滅会と遭遇してしまうなんて・・・最悪でしたねぇ。博士。」
「うむむ・・・。それもそうじゃが、クヨクヨしているのも仕方がないし、ここはポジティブに考えてみるのじゃ。」
「どういう風にですか?」
「・・・もしあの時草滅会と出会わんかったら、この草ヒロの存在を知らずに撤去されていくことになっていたんじゃ。確かに、撤去されるという事実を突きつけられてしまうのは辛い事じゃが、何も知らずにただ撤去されていくというよりはまだマシじゃろう?」
「うーん・・・。知らぬが仏という言葉もありますけど・・・世の中に存在する草ヒロを探し、研究する機関という自負がある以上は、『草ヒロがあるとは知らなかった』じゃあ済ましたくないですからねぇ。たとえそれが撤去されると分かっていても、草ヒロの事例の一つとしてデータベースに残っていくわけですから、最低限は記録したいですよね。」
「そうじゃ!・・・よーく分かっておるではないか!」
「博士のお陰でちょっと元気が出てきましたよ・・・!」
「ホッホッホ。」
「・・・これを、こんなコーナーじゃなくて次回の本編で言った方が良かったとは思いますがね。」
「・・・。」
(うっ・・・次回にこの話が出来なくなってしまうではないか・・・!)

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