マニアックエリア残りの一台は、このクルマです。
皆さんご存知でしょうか?
高知自動車工業 トクサン号
1964年式?
福山自動車時計博物館にて 2013年8月5日撮影
今でこそ、日本の自動車は全国的に有名な企業でしか作られなくなりましたが、終戦直後~高度経済成長期の日本においては、雨後の筍のように現れた、数多くの中小地元企業のようなメーカーもクルマを製造していました。
このトクサン号と呼ばれるオート三輪も、そのうちの一台。
製造会社名は高知自動車工業といい、相当なマニアの方以外は絶対に知らないであろう会社が製造したものです。
…とは言えはてさて、こんな小さなドローカル会社がクルマをイチから製造できたかというと…もちろん答えは、ノー。
…では、どのようにしてこんなクルマを販売したのか…。そのヒントは、現在日本にある数少ないマイナー自動車メーカーである、ミツオカに見出すことが出来ます。
ミツオカは、ビュートやヒミコ、最近話題になったロックスターなど、様々な個性的なクルマを販売していますが、どれもエンジンやシャシーは自前で用意したわけではなく、有名メーカーから買い取ったものを使用し、メーカーのボディを自前で改造したものを用意して、かぶせて販売しているという業務形態をとっています。
トクサン号を製造した高知自動車工業も似たような手法を用いており、シャシーはトヨタBM,BX,FA系をベースにして、エンジンはトヨタに限らず他の有名メーカーのトラックのエンジンを使っていたようです。
要するに、このトクサン号は、ベースがベースだけにオート三輪にしてはかなりの大柄ということになり、マツダやダイハツが製造するようなオート三輪とは一線を画すものとなっているということです。
マツダやダイハツは、中型・大型トラックを製造したことはないので、オート三輪の大きさも限りがあります。積めても2tという体たらくで、これではたくさんの木材を一度に余裕をもって運びたいという、林業従事者にありがちな希望を満たすことはできません。
…かと言って、中型大型トラックを製造するトヨタやニッサン、いすゞがオート三輪を製造していたかというと、そんなことはなく、四輪トラックしか製造したことがありません。
…というわけで、「案外需要が多いけれど誰も彼もが作ったことはないという、"沢山積めるオート三輪"をオレたちが作ってやろうじゃないか!」…と考えたのが、高知自動車工業。この思惑はピタリ当たり、地方の中小メーカーが作った割には多く売れ、現在でも5,6台の現存が確認されていると言います。
結果的に4tもの荷物を積め、後輪は他のオート三輪に類を見ないダブルタイヤを採用。
過剰に積載しても大丈夫な作りとなっているわけです。総排気量は4000ccで85ps。4t積ということを考えると妥当な数値となっております。
お知らせ?
ブリスカなどが置いてある"離れエリア"には今回訪れていない(というか行けなかった)ので、福山自動車時計博物館所有の旧車たちは今回で紹介終了です。
…ということは、今回でこのシリーズも終わり…ではありません。大連載計画PartⅩを思い出してください。連載計画では(24)まで連載予定となっていたので、後二回分残っているのです。
一体何を紹介するのかは、見てからのお楽しみ!?←別段レアな・古いクルマでもなく、草ヒロでもないということは断っておきます笑