水曜日は、“地元のネオクラを探せ!”の続編(?)である、“またまた!地元のネオクラを探せ!”を連載していきます。
このシリーズは、その名の通り、地元に潜むネオクラを発掘しようというコンセプトで行った探索の収穫を紹介していくものですので、草ヒロや旧車は基本出てきません…!
ネオクラやレア車・マイナー車の現役や放置車両がぽつぽつ紹介されるだけであります。お見知りおきを。
日産 ルキノクーペ GGタイプS(E-FB14)
1996~97年式
神奈川県西部にて 2015年3月15日撮影
初っ端から新快速のようにかっ飛ばしていきます。ルキノのご登場です。
さてこのクルマ…ルキノクーペ、皆さんはご存知でしょうか。
「あー懐かしい!」「そういやこんなクルマあったなぁ…」という方から、「知らね」「なにこれサニー?」…という方まで、皆さん思うことは色々あるでしょうが、このルキノというクルマは、これまで世に数多出てきた日産車の中でも、特に脚光を浴びることなく消え去った…つまるところ歴史にうずもれた、マイナーなクルマだと思います。
ルキノというのは、型式をご覧になれば分かるように、B14サニーがベースとなっているクルマなのです。
ルキノ登場の背景をこれより解説していきます。
サニーが初代の頃から、クーペボディは存在していましたが、B12の頃よりサニーのクーペにはRZ-1というサブネームが付いて登場したり、全く異なるデザインを採用したりするなど、サニーとは別の道を歩み始めており、RZ-1の後継であるNXクーペからついに完全にサニーとクーペが引き剥がされる形となりました。
…で、NXクーペの後継として登場したのがこのルキノというわけですが、見ての通りこのクルマには、B14サニーの面影が色濃く残っています。今回発見した中期型や後期型ならまだしも、前期型は完全なるサニーのクーペです汗
RZ-1やNXのように、ベース車と同じシャシーを利用しながら全く異なるデザインを採用するのなら、サニーから独立した名前を与えても影響はないのでしょうが(それどころか、全く異なる名前を与えることで、サニーベースながらもプレミアム感を与えることが出来る)、どういうわけかルキノには、サニークーペという名前に戻らないのにもかかわらずサニーと同じデザインが与えられてしまったのです…!
これでは、ルキノ独自のプレミアム感はなくなりますし、それにサニーとは全く違う名前に顧客も困惑することでしょう。
しかも、ルキノの迷走はそれだけに留まらず、更に酷いのが、サニーのクーペとして登場したルキノに、登場から1年後、ハッチバックモデルが追加されてしまったということです…!それも、独自のデザインというわけでなく、N15パルサーセリエに激似の。
ルキノハッチは、「サニーにハッチバックが設定されなくなって久しいから、ルキノはサニーのクーペなんだし、パルサーセリエの顔をちょこちょこっと変えてルキノってことにして、ついでにハッチバックをルキノに追加しちゃおう」…という、軽ーい感じで世に出されたのでしょう。
これには、「それもうルキノの意味ないじゃん、なぜサニーとしない…!?」と言いたくなってしまいます笑
皆さんもご存知のように、90年代は日産の低迷期でしたから、このように血迷ってしまったのかも知れませんが、コンセプトがブレブレになるくらいなら、RZ-1やNXのように、売れなくとも姿勢を一貫してつくり続ける方が良かったと思うのですがねぇ…。日産が経営危機に陥ったのも、その辺に事情がありそうです。
ルキノは、登場後すぐ良くも分からぬうちにコンセプトが漂流しはじめ、メインのクーペが特に注目されることもなく静かに消えていった悲劇のクルマ。それこそ、名車ならぬ“迷”車でしょうな。
…ということで、そんなルキノがまだこの世に現役で残っていたとしたら、心の中で拍手を送ってやってくださいな。
日産 プリメーラ 2.0Te(E-HP10)
1992~95年式
神奈川県西部にて 2015年3月15日撮影
お次は日産のネオクラつながりということで、初代のプリメーラを。
初代プリメーラはネオクラというだけで、ルキノのようにマイナーでもレアでもありませんが、初代はさすがに見かけなくなってきた印象があります。
日産全盛期ともいえる、901運動によって生み出されたクルマの一つということもあり、その完成度はかなり高いです。
BMWの3シリーズを見据えて開発されたため、足回りは高速安定性を重視したドイツ車のように硬く、心臓部にはニッサンの名機:SRエンジンを採用することで、足と動力性能がマッチした非常に出来の良いクルマになったそう。そのためか、モータースポーツにも積極的に参戦しており、BTCCやJTCCといったツーリングカーレースで輝かしい成績を収めました。
また、デザインは、バブルの頃のような成金趣味のそれではなく、シンプルイズベストとも言うべき、機能性が考えられた小賢い、スマートなものとなっております。最近の日産車のゴテゴテサと比べると目を見張るものがありますね。
…以上のように、走りとデザイン、そして居住性の各面から評価が高かったため、初代プリメーラは大ヒットしたクルマなのです。コンセプトブレブレだったルキノとは正反対のクルマですね。
…ということで、未だに頑張っている個体を見かけたら、心の中で応援してあげましょう。