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前回のおはなし(『草ヒロ“撤去”物語3』より)
山中 「水篶さん!下の方の果樹園に、草ヒロらしきものが二台いました!」
秘書 「承知いたしました。ちょうどいいスペースがありますので、そこに止まります…!」
上田 「どんな草ヒロが居たんですか?」
山中 「一台は白いライトバンで、もう一台は見るからに古そうな小さな赤い軽だ。サブロクだろうな~ありゃ。」
上田 「おっ!それは期待ですねぇ!早速行きましょうか!」
山中 「おう!」 秘書 「はい…!」
バタムダムン!!
ダン!!
山中 「やっぱりこの斜面一帯に広がる果樹園には、結構あるもんなんだな~。」
秘書 「さきほど上田様もキャリイを発見されましたしね。」
上田 「ええ。いやはや、あれには本当にビックリしましたよ~。見間違いかと思ったら本当に草ヒロだったんですもの!」(ホントはただの偶然。ウソから出たマコトってやつなんだけどネ…。)
山中 「そう言う水篶さんも、ついさっきグランドファミリアを発見されたじゃないですか!」
秘書 「いえいえ。あれはほんの偶然で…。」
山中 「よし!見えてきたぞ~!第一の草ヒロが!」
上田 「おぉ~!これは撤去し甲斐のありそうなボロい草ヒロですねっ!」
山中 「おう!…しかし、向こうの赤いのが気になるな。あれはもっと汚らしいし、個人的にはあっちの方を撤去してェところだが…。」
上田 「まあ、とりあえずこの草ヒロを見てみましょ!」
山中 「そうだな。」
No.026
日産 サニーバン
ジャマレベル:★★★☆☆(果樹園棚の入り口の目の前にありますから、オーナー的にも少しジャマだと思われます。)
景観悪レベル:★★★★☆(フロントがゴッソリなくなり、見た目が汚らしいばかりか、ライトだけは残っているので不気味です。子供たちを泣かせるおつもりでしょうかこの草ヒロは。)
貴重レベル:★★☆☆☆(この型のサニーバンはよく見ます。)
総合評価:フロント側が見るに堪えないほど無惨に朽ちているのは、やはり不愉快です。こんなものは撤去するほかないでしょう…!
秘書 「なるほど…。この個体は思ったよりもひどい状態でしたね。」
山中 「そうですねぇ。後ろから見たら普通の草ヒロって感じでしたけど、前に回ったらゴッソリないんですものね。」
上田 「これは見苦しいですよ…!…それに、目ん玉が飛び出ててなんだか怖いし…。」
秘書 「車種は一体、なんでしょうかね?」
上田 「さっきのキャリイもそうですが、やはり顔がなくなっていると一気に車種判定が難しくなってしまいますよね。」
秘書 「ええ。それにライトバンだと、リアのデザインも似通ったものが多いですしね。」
山中 「…んーと…あ!あったあった!」
上田 「エンブレムですか?」
山中 「そうだ!どうやらサニーみてぇだなこれは!」
上田 「サニー…?」 秘書 「サニーでございますか。」
山中 「多分だが、70年代後半に発売されたB310型じゃねぇかな。」
上田 「なるほど~。」
秘書 「では、データベースに記録して、すぐ近くの草ヒロを見てみましょうか。」
山中・上田 「ええ!」
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前回のおはなし(『草ヒロ物語3』~小布施チーム編~のみ読みたい方はコチラ)
清里 キンッッ!! 「ねぇ!ゆう、あそこ見てよ!」
飯田 キィッ!! 「なんだ?」
清里 「あれ…草ヒロじゃないかな?」
飯田 「お、本当だ…!しかも、二台もあるぞ!」
小布施 キュゥッ!! 「でかしたぞ清里!早速向かおうぜ!」
清里 「ええ!」
笛吹 「あれ?クルマが止まってる…」
清里 「本当だ!農家の人かな?」
飯田 「いや、あれは…さっきの…」
小布施 「まさか…な。…とりあえず行ってみるしかねぇな…。」
笛吹 「あーっ!あなたたちは…!」
山中・上田・秘書 「……っ!!」ビクッ!
上田 「あら、レイレイくんにスイちゃん!また会うなんて奇遇だね…!」(あらやだ。…早くテキトーな理由付けて追い返さなくちゃ…)
清里 ビクッ! 「…ど、どうも…!」(まずいよぉ~。“やくざ”の人たちに顔と名前を覚えられちゃってる…)
上田 「…ところであなたたち、こんな何もないところに、何をしに来たのかな?」(…いや、ここで説得すれば、もしかしたらレイレイくんが入会してくれるかも…!?)
飯田 (おいバカ小布施!なんでワザワザ挑発するようなこと言うんだよっ…!?)
清里 「あれ?…ブッセさんさっきは“やくざ”の女組長って言ってませんでしたっけ?」
笛吹 「あれれー?三悪の女ボスじゃなかったっけー?」
飯田 (…あーぁ…もう、終わった…。本当にこいつらバカだ…。きよや笛吹はともかく、まさか小布施までそんな軽率な言動をするとはな…。俺は、小布施という人間を過信していたのかも…)
上田 「…ンッフッフッフッ…。あたしが“三悪”の女ボス呼ばわりさるんなら、仕方がないわねェ…?」
上田 「お前たち!こいつらを、やーっておしま~い!」
山中・秘書 「……。」(これは…ただのフリってことだよな…?)
山中 「ワハハッ!フリが懐かしかったもんで、俺もつい乗ってしまいやしたwww」
山中 「おいおいリンゴ、こないだのミーティングでボスが仰っていたこと、もう忘れたのか?」
山中 「草研に新入りが入って来るってことをだよ!」
上田 「あーっ!ってことはまさかこの子たち…」
山中 「そう…!もしかしたら…いや多分…いや恐らく…いや絶対!草研の新入りどもだーッ!」
飯田 (うぐっ…?草研を知っているだと…!?もしかしてコイツら…!)
小布施 「てめぇら…一体何モンだ?」
笛吹 「ひぇぇー!怖いよぉ~!レイレイ~!」
清里 「スイちゃん!僕が付いてるから、大丈夫だよっ!」
山中 「まあ安心しな…。俺たちは貴様らが最初思っていたような反社の人間じゃあねぇから、貴様らを暴行・拉致・虐使するこたねぇよ…。…だが貴様らにとっては、やっぱり俺たちは悪者だろうな。当然、世間一般の人間からすれば正義の味方なのだが…。」
清里・笛吹 「へ……?」
小布施 「それはどういう意味だ!?」
山中 「お前らのマヌケな博士から聞かなかったか…?聞いて驚くなよ?」
笛吹 「…『“ウサ”ちゃん!“メッツ”コーラ、“買い”に行ってきてー!』の略ぅ~?」
小布施 「そうか、草ヒロの近くにいたのは、草ヒロを撤去しようと観察していたってことか!?」
山中 「フフフ…君たちは物分かりが良いようだねぇ。そこの“バカ二人”とは大違いだ…。…それに、パーカーの君は草滅会を知っていたとはな…。」
飯田 「俺たち…草ヒロが好きなんです!撤去なんかして楽しみを奪うようなことはやめてください!酷いですよ!」
山中 「…まったく、自分勝手な人間だなァ貴様らは…!」
秘書 「草ヒロが、この世の中でどれだけ害を及ぼしているか、考えたこともないんですか!?」
上田 「そう!草ヒロが存在することで、景観の悪化にもつながるし、割れ窓理論で治安の悪化にもつながる…そしてクルマのバッテリーなどに含まれる有害物質が土壌へと流れだす土壌汚染にもつながるの!それだけじゃない!草ヒロが害を及ぼすことは他にもいっぱいあるの!」
飯田 「…うっ…。」
小布施 「ぐっ…。」
山中 「とどのつまりなぁ…『草ヒロを撤去するな!』などとぬかすヤカラは、この世に害を及ぼしているも同然なんだよ!」
秘書 「全く、どっちが悪党だか分かりませんね…。世間からしたら、我々が正義です。」
飯田 「…ぐっ…。」(暴論だが…確かに…こいつらの言うことも一理ある…。)
飯田 「…た、確かに…それもそうです。特に、街中に放置してあるクルマは景観悪化にも治安の悪化にも、そしてスペースを占拠していることにもなる…。」
山中 「…フフフ、やっぱりパーカー君は話の分かる男のようだな。」
山中 「ク!エゴイストエゴイスト。…クククッ!…その理論が通るンなら、撤去するのも自由だな。俺たちは撤去することで草ヒロというものを楽しんでいるのだから。…楽しむ分にはなんだっていいんだろう?」
上田 「…おぉ!山中さん、すごい納得のいく理論です!」
秘書 「さすがでございますよ。」
飯田 「…うっ。そんなの詭弁だ…!」(このままでは草ヒロが撤去される…どうにかして反論できないものか…!?)
「まさか草研の新入りと出会ってしまうとは、驚きましたよ~。…というか、あの助けてくれた人たちが草研だったとは…。」
「おい、とんだジャマが入ったようだが、本当に草ヒロは撤去できたのか?」