今回は、ある博物館に展示されていたとっても貴重な保存車両をご紹介します。
『博物館の展示車両なら、博物館のシリーズで紹介すればいいじゃないか!』…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回のネタは自動車博物館にいたものではなく、全くジャンルの違う博物館に旧車が一台だけ展示されていたものであり、なおかつ鉄道を使ってその博物館に訪れたのでこのシリーズでご紹介することにいたしました。
では、その博物館というのはなにか…。
それは、東武博物館!
東武博物館は、その名の通り東武鉄道に関する博物館。
関東地方にお住まいならご存知の方も多いでしょうが、東武鉄道は関東地方1都4県で鉄道路線を展開している大手私鉄。そして、東武博物館は東京都墨田区に位置しており、東武伊勢崎線の東向島駅の高架下にあります。
中高時代の鉄道研究部の後輩たちと共に、僕がOBとなってから1年が経過しようとしていた大学1年生終盤の時に訪れました。
東武鉄道というと、神奈川県民の僕にとってはあまり縁がなく、乗ったこともほとんどなくてイマイチよく知らなかったのですが、東武博物館に行くことによって東武鉄道に関する歴史や車両・路線などについて詳しく学ぶことが出来たので、とてもためになり面白かったです…!
鉄道研究部でジオラマを作っていた身としては、東武鉄道を模した巨大なジオラマも見ごたえ抜群で感動モノでした笑
入館料は、大人でもたったの210円!交通系ICカードを使えばさらに割安の200円!
館内にはお土産屋さんもありますし、興味のある方はぜひ訪れてみてください!
…このシリーズ恒例となってしまった長い前置きを経て、いよいよ展示車両の紹介です。
東武鉄道に関する博物館で展示されている物でクルマと言ったら、やっぱり東武バスしかありませんよね!
ということで、一台だけ展示されていた貴重な東武バスの姿をご覧ください!
ボディ:富士重工 T5型
シャシー:日産 N180
1951年式
東武博物館にて 2018年3月18日撮影
なんと1951年式!
な、なんと日産製!
なな、なんとキャブオーバー型!
見所が3つも重なったかなり珍しいバスであります!
日産のバスというと、エコーやシビリアンといったマイクロバスしか作っていないという印象を持っている方が多いでしょうが、日産ディーゼルとはまた別に、大きめのバスを製造していた時代がありました。
“キャブスター”と名付けられたキャブオーバー車や、“コロナ”と名付けられたリアエンジンバスが代表的でしょうか。
ちなみに、キャブオーバーというのは、キャブ(運転席)がエンジンを覆いかぶさる(オーバー)ように上に存在しているエンジン配置の名称であり、ボンネットの長さだけ車内長が狭くなるボンネットバスと比べると広く乗車スペースをとることができるため、1950年代頃から普及し始めました。
しかし、エンジンがフロントにあるゆえに乗車扉を前に設置することが出来ず、ワンマン運転が主流になりつつある中で徐々にリアエンジンバスに取って代わられていきましたとさ。
そしてこちらのバスは日産製のキャブオーバー型バスではありますが、有名なキャブスターではなく、キャブスターの登場よりも更に昔の1951年に製造されたらしい、N180という型式のバスです。
同社のボンネットトラックであるニッサン180のシャシーをベースとし、富士重工製のT5型というボディで架装することによってキャブオーバー型の路線バスに仕立て上げた一台。
フロントガラス分割式で、ウインカーがアポロ式であることからも、その古さがお分かりいただけることでしょう。
栃木県足利市を中心に走り回ってせっせとお客を運び、いつしか退役した後は第三者の手に渡り、長らく物置草ヒロ状態になっていたそうです。
東武博物館を開設する際に、物置として使われていたN180を引き取ってフルレストアしたものが現在の彼。
現役バリバリだった時代のカラーリングを身に纏い、きっと満足してこの博物館の中で佇んでいることでしょう。