今回の『くるぱくのくるまたち』では、イギリス車を一気に5台放出!
メーカーは、オースチン/デイムラー/MGの3種類!
そしてジャンルは、イギリス車定番のスポーツカーと高級車!
どうぞご覧あれ!
オースチン セブン
スポーツ
1933年式
日本自動車博物館にて 2013年8月14日撮影
まずはオースチンのクルマから2台ご紹介。
こちらはオースチンが作ったセブンという名前のスポーツカーです。
…セブン。
『イギリス車』で『スポーツカー』で『セブン』と聞くと、僕はまっさきにロータスが作ったセブンが思い浮かびますが、まさかロータスよりも歴史のある老舗オースチンもセブンという名前のスポーツカーを作っていたとは知りませんでした。
しかし、セブンについて調べてみると、今まで知らなかったのが申し訳なくなるくらい、イギリスの自動車史に深くその名を刻んだ偉大な乗用車だったということが判明したのです。
こちらのセブンはスポーツタイプですが、セブンはもともと小型大衆車として開発されたクルマであり、“スポーツ”と呼ばれた二座オープンモデル以外にも様々なボディタイプが用意されたそうです。
代表的な最量販モデルのサルーン、サルーンのオープン仕様のカブリオレ、サルーンのツーリングモデルのツアラー、サルーンとは別のボディを載せたスポーツ、クーペ、バン…実に6種類ものボディタイプがあり、オースチンのこのクルマに対する力の入れようが分かります。
セブンが世に送り出されたのは、1922年の頃。
当時アメリカでバカ売れしていた大衆車;フォードT型のようなサイズのボディではなく、街乗りに便利な更に小型のボディを架装したことによって、操作性もよく、低価格で維持もしやすい、そしてライバルとなるバイクよりも安全で耐候性もアリ…という様々なメリットを生み出しました。
その結果、戦前のイギリス車としては最も多く生産されたクルマとして記録を残すほど、イギリスではスマッシュヒットをかますことができたのです。
オースチンセブンの登場によって、他の自動車メーカーもセブンをベンチマークにしてクルマの開発を進めるようになり、その結果イギリスの自動車産業技術力が全体的に向上。セブンは、イギリス車のネームバリューを世界に轟かせるきっかけとなった一台と言えるでしょうね。
BMC プリンセス
ロングホイールベース リムジン
1957年式
日本自動車博物館にて 2013年8月14日撮影
お次のオースチン車はこちら…と言っても、車名にオースチンと入っていませんが、年式の関係でそうなっているだけで、元々はオースチンのクルマだったためオースチン車として紹介します。
オースチンは、1952年にモーリスと合併してBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)という会社になったため、1957年式であるこちらのクルマは会社名はBMCと表記させていただきました。
BMCになってからでも、こちらのクルマはオースチン・プリンセスという名前で数年間売られましたが、1957年モデルからはオースチンの名が外れ、プリンセスだけになったため、オースチン車だけどオースチンの名が一切入っていないという状態になっているわけです。
それにしてもプリンセスって名前、クルマの名前にしては凄いセンスですよね~。
しかしこのクルマは、王女の名に恥じないおしとやかさ、気品、高貴な雰囲気を兼ね備えていると思うので、この名前がピッタリだと思いました。
オースチンは以上。
次はデイムラーです。
デイムラー ストレートエイト
リムジン DE36
1954年式
日本自動車博物館にて 2013年8月14日撮影
デイムラーは、英語でDaimlerと書きます。
この文字列、デイムラーという社名、なんだかすごく聞き覚えがある人が多いと思いますが、ドイツにもダイムラーという自動車メーカーが存在しており、スペルはDaimlerと全く同じ!
日本語では英語読みに近い方をイギリスのDaimler、ドイツ語読みに近い方をドイツのDaimlerと区別していますが…随分と紛らわしいものですね笑
しかし、デイムラーとダイムラーの両社に全く関係がないのかというとそうではなく、その起源を辿ると全く同じ人物に行き着きます。
彼の名は、ゴットリープ・ダイムラー。
世界で初めてガソリン自動車を開発したカール・ベンツと並んで、ガソリン自動車開発の先駆者として、自動車史を語る上ではなくてはならない存在の偉人であります。
ドイツ人のダイムラーは、自身が開発したガソリンエンジンをイギリスでも生産することを目論んで、イギリスに会社を作ったのですが、それがデイムラーだったというわけです。ドイツの自動車メーカー;ダイムラーと同じく、自分の名前をメーカー名にしたというわけですな。
デイムラーのについて軽く説明したところで、こちらのクルマについてお話していきますが…。
こちらは、ストレート・エイトと呼ばれた、L8エンジンを搭載するデイムラーのフラッグシップカー。その中でも、戦後に生産されたDE36エンジンを搭載する後期モデルであります。
現代のクルマが搭載する8気筒エンジンというと、普通はV型ですが、こんな直列の8気筒エンジンなんていうものが開発されていたとは驚きました。
スペース効率の点でV型よりも圧倒的に不利ですが、エンジンが長くなる分ボンネットの長さをより多く取れるので、大きく見せることが出来たり、衝突安全性を確保することが出来たり…といったメリットもありそうですし、それで直列型を採用したのでしょうかねぇ。
DE36は1946年から1953年まで生産されたのですが、ナンバープレートには、1954年式とあります。
これはいかに、とこのクルマについて調べから疑問に思いましたが、日本の年式打刻制度に則った表記をしていることなら合点がいきます。
例えば、1953年9月以降に登録されたとしたら、当時の制度では1954年式と表記するという具合。
最後はMG車を2台紹介!
BMC MG・MGA
1955年式
日本自動車博物館にて 2013年8月14日撮影
小型のスポーツカーを主力としてブランド展開してきたMGは、元々独立した会社ではありました。
しかし、イギリスの自動車メーカーあるあるですが、例に漏れずMGも大きいメーカーに吸収されてしまい、親会社が変わりつつもブランドは維持されてきました。
こちらのMGAというクルマは1955年に作られ、その当時は先ほども出てきたBMCが親会社だった時代。MGはブランド名でした。
綺麗な半円を描いたようなエンジンフードの形状がオシャレです。
顔も可愛らしいですし、MG車ならではのキビキビとした動かして楽しいクルマということもあって、乗った人は愛着が湧いたことでしょうね~。
BMC MG・MGB
1966年式
日本自動車博物館にて 2013年8月14日撮影
1955年に登場し、1962年まで生産が続けられたヒット車種;MGAの後継として満を持して登場したのがこのMGBです。
MGBはMGAよりも長く生産が続けられ、マイナーチェンジを何度か繰り返しつつ1980年まで作られたという、MGブランドを代表するロングセラー商品となりました。
実際、旧車イベントに出かけるとその姿を認めることが多いですし、博物館でもよく展示されており、イベント・博物館関係なしに、休日に山道をドライブすると、オープンにして颯爽と駆け抜けるMGBを見かけることがありますから、日本でもかなりの人気を誇ったことは容易に想像できますネ。