上田 「あたし、特に何にも考えずに走ってるので、いつの間にか商店街に入ったんですけど、こんな所にも草ヒロ、もとい放置車両なんてあるんでしょうかねぇ、ボス?」
ボス 「そんなに心配しなくていいだろう。大体草ヒロなんてのは、偶然で見つかるものだ。これもアイツが言っていたことだ。草ヒロ探索の極意・・・。」
上田 「そんなもんですかね~。」
山中 「ところでボス、アクティ見つける前も言ってましたけど、そのアイツって一体誰なんです?」
ボス 「いや、いいんだ・・・。そいつは私の旧友で、昔草ヒロを探しまわったもんだ・・・。」
山中 「そのボスの旧友とやらも、草ヒロの撤去に尽力していたんすか?」
ボス 「その話もここまでだ。続きはいつか話してやろう。」
山中 「そうですか。分かりました。」
上田 「なんかまた住宅街に入り込んじゃいましたけど・・・って、ボ、ボス!凄いのがいました!」
ボス 「なんだと?そんなレアなのが・・・おぉ!」
シトロエン DS21パラス
ジャマレベル:★★★★☆(狭い駐車場を占拠している)
景観悪レベル:☆☆☆☆☆(状態も現役かと思う程。置いていても絵になる美しいボディだから景観を乱す筈がない!)
貴重レベル:★★★★★(現役も草ヒロも、そうお目にかかれるものではないぞ!)
総合評価:景観悪レベルは低いが、ジャマレベルも貴重レベルも高いし、こりゃあもう撤去だな!
ボス 「う、美しい・・・。まさかDSが放置されているなんて・・・。それに極上の状態だ・・・。」
上田 「車検シールも新しいので、もしかしたら現役かも・・・って、ボス、リアを見てみたら、草が絡みついていました。やはりこれは放置車両ですね!」
山中 「県外ナンバーだし、もしかしたら盗難車なのかもな・・・。」
上田 「こんな歴史に残る名車を放置するなんて・・・、考えられませんよ!状態が良いのがまだ救いですが・・・。しかしボス、これも鉄屑にしてしまうんですか?」
ボス 「・・・・・・」
子分達 「ボス・・・?」
ボス 「・・・うぅ、流石の私も、これを鉄屑にすることは出来ん!この美しいボディライン、先進的なデザイン、そればかりか非常に高度な技術を用いた、ハイドロサス・・・、この名車をこのまま朽ちさせる訳にはいかん!私のコレクションスペースに持っていこう。・・・上田、水篶に場所を教えといてくれ。」
上田 「了解しました!」
ボス 「いや~、これは、凄い・・・」
山中 「おい、りんご、りんご!」
上田 「はい、何でしょうか?」
山中 「聞いたか?ボスの言葉!コレクションスペースと言ったぞ!」
上田 「ええ。前々から、支部の会員から噂は聞いていましたが、ボスは希少で極上な気に入った放置車両は潰さずにコレクションするってやつですよね?」
山中 「そうだ。ボスは草ヒロ・放置車両は大っ嫌いでもクルマは好きだし、やっぱり噂は本当だったんだな!多分、秘書の水篶さんなら詳しく知っているだろうけど・・・。」
上田 「あたし、ボスのコレクション見てみたいです!」
山中 「そうだよな!・・・」
ボス 「おい、お前たち、そこで何やってんだ?早く行くぞ!」
子分達 「ハ、ハイ!」
・・・その後、この草ヒロは撤去されてしまったそうな。
ストリートビューより、“その後の様子”
DSが撤去された後の駐車場は綺麗に舗装され、景観が更に良くなりました。邪魔な放置車両がいなくなったことによって、この駐車場もより有効利用されることでしょう。
つづく
「この草ヒロが撤去されたというのは事実。見たら分かるだろう?しかし、この物語、そしてこの物語に登場する団体・登場人物は私を含めてフィクションだ。実在するものとは、一切関係無いぞ。」
「ボス、また写真に関する疑問なんですが、3枚目の写真だけ他の2枚と明らかに時間が違いますし、季節も違いますよ?」
「・・・何だ・・・ま、また写真の話か・・・私は知らん。写真を撮ったのは上田だろ?」
「はい、でも、アイツは上の2枚しか撮っていない、と言ってます。」
「・・・何?・・・そ、そうだ、秘書だ!秘書の水篶が撤去する際に撮ったんじゃないのか?うん、そうだ、きっとそうだ!」
「にしても季節が違い過ぎる気がするんですが・・・。」
「うっ・・・、追及禁止だ!」
「はっ、申し訳ございません、ボス!」